2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791894
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌倉 武史 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30600564)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 耳科学 |
Research Abstract |
前庭神経系におけるTRPV1受容体の機能解析を行ってきたが、三叉神経節や後根神経節においてTRPV1と共発現し、相互作用が報告されているTRPA1受容体についても並行して解析することは前庭神経節におけるTRPV1受容体の機能解析をするうえで非常に重要であるとの認識に至り、TRPV1、TRPA1受容体の両方について解析することとなった。TRPA1受容体はTRPV1と同様に侵害刺激で活性化する受容体だが、冷温(17度以下)やアルカリで活性化するなど、高温や酸で活性化するTRPV1とは正反対の条件で活性化する。TRPA1受容体の前庭神経節における発現については未だ明らかにされておらず、もしTRPA1の前庭神経系での発現が明らかとなれば、TRPV1とTRPA1の共発現や相互作用が平衡覚への関与している可能性も考えられる。TRPV1、TRPA1のいずれもRT-PCR法、in situ hybridization法、カルシウムイメージング法にて遺伝子の発現だけでなく、その局在や機能的発現についても概ね確認した。またカルシウムイメージング法ではTRPV1、TRPA1それぞれのアゴニストに対して同一細胞が応答したことから、同一細胞にTRPV1、TRPA1の両方が機能的発現している可能性が示唆された。また、現在では免疫組織化学により、この2受容体の発現、共発現の可能性を探っている。まためまいを誘発した動物(ラット)において、めまい誘発モデルの確立とめまい誘発前後でのTRPV1、TRPA1両方の発現の変化について解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はTRPV1のみを解析していく予定であったが、三叉神経節などでTRPV1と共発現しているTRPA1についても並行して解析する必要があるとの判断にて、2受容体を同時に解析している。RT-PCR法、in situ hybridization法、免疫組織化学に加えて、カルシウムイメージング法も行い、概ね当初の予想通りの結果が得られつつある。また、すでにめまい誘発によるTRPV1、TRPA1の発現の変化についても解析に着手しているが、まだ解析の途上であり、その点ではわずかながら遅れているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているラットを用いた前庭神経節におけるTRPV1、TRPA1の発現とめまい誘発についてさらに解析を進めるとともに、当初計画調書に記載した計画の通り、マウスに対しても同様の実験を行い、ノックアウトマウスを用いた実験に進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くはラット、マウスの調達費用、抗体などの試薬といった消耗品の費用に充てて、研究成果の学会発表のため旅費にも一部使わせていただきたいと考えている。
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