2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791897
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
土井 清司 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00379380)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 嗅覚障害 / マイクロアレイ / メタボローム |
Research Abstract |
嗅神経細胞は終生にわたり再生を繰り返す能力があり、その再生過程のメカニズムの解明が嗅覚障害の治療発展に重要である。嗅覚障害の病態を人為的に作成する方法の中で、メチマゾールの全身投与する方法があり、嗅覚障害の再生過程の観察が可能である。本研究では、メチマゾール投与による嗅覚障害モデルマウスを用いて、再生過程における種々の栄養因子の発現の変化を観察する実験を行った。方法は、DNAマイクロアレイ解析法を用いて、メチマゾールによるダメージから再生する過程の嗅上皮組織と嗅球組織における種々の遺伝子のmRNAレベルの測定を行った。再生過程において多くの遺伝子の変動を認めてり、障害前の基準値から2倍以上の変動を認めた遺伝子は、嗅球で809種類、嗅上皮で1312種類であった。それらの遺伝子の中で、神経栄養因子のひとつでありBDNF(brain-derived nerve growth factor)がドラマティックな変化を認めていた。嗅上皮組織では、BDNFのmRNA量がメチマゾール投与日から最初の7日間で増加を認め、それ以降は減少していた。それに対して嗅球組織におけるBDNFのmRNA量は、メチマゾールを投与してから最初の7日間では、減少を認めており、それ以降が緩やかに増加をする変化を認めていた。この結果は、BDNFが嗅上皮においては再生過程の早期に機能しており、嗅球においては再生過程の晩期に機能していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
嗅覚障害モデルでの遺伝子量の変化を観察する実験を予定どおり行うことができ、その結果から特定の神経栄養因子の機能に関する知見が得て、英文雑誌への論文投稿と掲載が達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のDNAレベルでの解析結果を検討して、嗅球組織と嗅上皮での再生過程の栄養因子のかかわりをさらに解明していく。それに対して、当大学内で利用可能な質量分析装置を用いたメタボロミクス解析が有用であると考えており、再生過程での代謝産物の測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度と同様に、嗅覚障害モデルマウスでの嗅球組織と嗅上皮組織をサンプリングして、質量分析装置におけるメタボローム解析を実施する。研究結果を学術雑誌、学会にて発表を行う。以上に対して研究費を使用する予定である。
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