2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791902
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
稲本 隆平 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50581047)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 内リンパ / カテコールアミン / 静水圧 / 内リンパ嚢 / 内リンパ静水圧 |
Research Abstract |
平成23年度は「カテコールアミン(イソプロテレノール)投与時の内リンパ系各部位での静水圧の測定実験」という目的および計画であったが、WPI社製の900A micropressure systemを用いてモルモットの前庭・半規管での内外リンパ圧および電位の測定及びイソプロテレノール投与時の内外リンパ圧および電位の変化の測定に成功した。イソプロテレノールを投与すると、蝸牛での反応と同じようなタイムコースで一過性にリンパ圧が上昇し徐々に元の値に戻っていった。さらに内リンパ嚢を閉塞することによりその反応が消失することを確認することができ、イソプロテレノール投与時の前庭・半規管の反応もまた内リンパ嚢を介して起こっていると考えられた。我々の研究(Inamoto,2009)によりストレスにより内リンパ嚢を介して蝸牛内リンパ静水圧が上昇することにより難聴が悪化することが説明可能となったが、同様に前庭半規においてリンパ静水圧が上昇することにより、ストレスによりめまいが起こる機序を説明できるようになったと考えられ、メニエール病においてめまい発作時に難聴が同時に起こる機序なども説明可能になったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は「カテコールアミン(イソプロテレノール)投与時の内リンパ系各部位での静水圧の測定実験」であったが、前庭・半規管での静水圧および電位の測定は成功した。一方、球形嚢における電位および静水圧の測定は、アブミ骨に小孔を作成、もしくはアブミ骨を除去し、ガラス電極を挿入し、測定予定であったが、モルモットのアブミ骨に小孔を作成すること自体が困難で、アブミ骨を除去してから電極を挿入し、ボンドにて固定試みたが、アブミ骨を除去することにより大量のリンパ液が漏出し、静水圧および電位が測定不可能であった。このような理由により球形嚢での静水圧および電位の測定は断念せざるとえなかった。また、蝸牛側壁に小孔を作成し、蝸牛の前庭階の電位および静水圧を測定予定であったが、予想以上に実験手技が難しく、安定して測定ができていない。以上より静水圧の測定を予定していた3部位のうち重要視していた前庭・半規管での測定は成功したものの、球形嚢での測定は断念、蝸牛前庭階での静水圧は測定中であり、達成度についてはこのように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
蝸牛および前庭でのイソプロテレノール投与時の静水圧の上昇において、内リンパ静水圧と外リンパ静水圧でその上昇において若干の時間差が認められる。また、静水圧の上昇の程度において蝸牛と前庭・半規管との間に差が認められる。この圧上昇の時間差や程度差が測定手技によるものでないことを示すために、同一個体での2部位での同時測定が望ましいが、WPI社製900A micropressure systemが一台しかないため、不可能である。よって蝸牛の前庭階での外リンパ静水圧の測定や、球形嚢での静水圧の測定を行い示す必要があるが、球形嚢での静水圧の測定は不可能であったため、引き続き蝸牛前庭階での静水圧の測定を成功させる必要がある。これらの実験が完了次第、イソプロテレノール投与時の聴覚・平衡機能の測定を開始する予定である。具体的にはイソプロテレノール投与時のABR、蝸電図、前庭誘発筋電図、DPOAEを測定予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はWPI社製900A micropressure systemの消耗品および、ABR、蝸電図、前庭誘発筋電図、DPOAEなど測定に必要な物品およびイソプロテレノールなどの試薬および、全身および局所麻酔薬の購入また、研究用実験動物の購入に研究費の使用を計画している。
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