2011 Fiscal Year Research-status Report
NKT細胞による上気道粘膜免疫応答の誘導・制御の解析と経鼻ワクチンへの応用
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23791909
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
野田 謙二 大分大学, 医学部, 助教 (90511171)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 経鼻免疫 / 粘膜免疫 / P6 / α-galactosylceramide |
Research Abstract |
本年度はP6とαGalCerで経鼻免疫を行ったマウスの鼻粘膜、脾臓における抗原特異的Th1/Th2型サイトカイン産生細胞の誘導、CD4+T細胞における抗原特異的サイトカインmRNAの発現について解析を行った。経鼻免疫を行ったマウスの鼻粘膜、脾臓から単核球を分離し、細胞内染色で細胞内サイトカイン(INF-γ、IL-4、6)を染色し、フローサイトメトリーにてサイトカイン産生細胞数について解析した。P6とαGalCerで経鼻免疫を行ったマウスではP6のみで経鼻免疫したマウス、コントロールのマウスと比較してINF-γ、IL-4、6の産生細胞数の有意な増加が認められた。このことから、P6とαGalCerの経鼻免疫によりTh1/Th2型サイトカイン産生CD4+T細胞が誘導されることが示された。P6とαGalCerで経鼻免疫を行ったマウスからCD4+T細胞をP6の存在下に培養し、RT-PCR法で抗原特異的サイトカインmRNA(INF-γ、IL-2、4、5、6、10、TGF-β)の発現について解析した。P6存在下に培養したCD4+T細胞ではINF-γ、IL-2、4、5、6、10、TGF-βのmRNAの発現を認め、P6非存在下に培養したCD4+T細胞ではそれらサイトカインmRNAの発現は認めなかった。さらに、リアルタイムPCRでP6とαGalCerで経鼻免疫したマウスとP6のみで経鼻免疫したマウスの抗原特異的サイトカインmRNA(INF-γ、IL-4、5、6)の発現を比較すると、P6とαGalCerで経鼻免疫したマウスで抗原特異的サイトカインmRNAの発現が有意に増加していた。このことから、P6とαGalCerの経鼻免疫によりCD4+T細胞が抗原特異的分泌型IgAの誘導に重要なTh1/Th2型サイトカインmRNAを発現することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はP6とαGalCerの経鼻免疫による上気道粘膜免疫応答の解析として、経鼻免疫を行ったマウスについて抗原特異的Th1/Th2型サイトカイン産生細胞の誘導、CD4+T細胞における抗原特異的サイトカインmRNAの発現について解析することを目的とした。実際にそれらの実験を行い、P6とαGalCerの経鼻免疫によりTh1/Th2型サイトカイン産生CD4+T細胞が誘導されること、CD4+T細胞が抗原特異的分泌型IgAの誘導に重要なTh1/Th2型サイトカインmRNAを発現することが示された。これらの結果はP6とαGalCerの経鼻免疫がインフルエンザ菌特異的防御免疫を誘導するメカニズムの一部を明らかにした。実験はおおむね順調に進行していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はP6とαGalCerの経鼻免疫によるNKT細胞、樹状細胞の動態の解析を行う。P6とαGalCerを経鼻免疫したマウスの鼻粘膜、NALTについて免疫組織化学で組織レベルで樹状細胞の誘導について解析するとともに、NKT細胞の活性化に重要なNKT細胞と樹状細胞の相互作用が上気道のどの組織で主に起こっているのかについて検討する。さらに、経鼻免疫したマウスのNALT、頚部リンパ節において単球を分離しフローサイトメトリーにてNKT細胞の誘導や誘導された樹状細胞のサブセットについて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は実験動物(マウス)、実験試薬(抗体)、実験器具(チューブ)の購入、研究成果発表として国際学会参加の旅費や外国語論文の校閲費として使用する。
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