2013 Fiscal Year Research-status Report
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23791913
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
喜友名 朝則 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10433103)
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Keywords | 痙攣性発声障害 / 脳機能画像 / 発声時脳活動 / ジストニア |
Research Abstract |
痙攣性発声障害症例は当該年度までで13例の症例が集まった。これを16例の健常者と比較し検討を行った。当初持続母音のタスクで健常群との違いを検討したが、持続母音は症状の出にくいタスクであるとの報告から、2音節2回反復タスクあるいは数字の読み上げタスクとより症状が出ると思われるタスクを増やし検討した。全てのタスクで共通して小脳、尾状核、視床、中脳で強い賦活を認めた。数字の読み上げでは右感覚運動野で強い賦活を認めた。弱い賦活となった部分は、全てのタスクで頭頂皮質、前頭前皮質で認め、持続母音では補足運動野や被殻、淡蒼球、数字の読み上げでは右感覚運動皮質であった。いずれにしても小脳、大脳基底核(尾状核)、視床で異常が認められ、より言語的な数字の読み上げでは感覚運動野に異常を認めた。当初の計画では高音発声時の脳活動についても検討する予定であったが、これまでの報告で持続母音発声が症状のあまりないタスクと同様と考えられており、高音発声は症状のでないタスクであるため、あまり持続母音と違った新しい所見が出る可能性が低いこと、1症例についての課題が多くなり負担が大きいことから今回はタスクとして行わないこととした。その代わり、撮影したMRI画像を利用して構造画像から健常群と痙攣性発声障害群の脳領域の容積を比較するVBM測定を追加した。これらからも尾状核に灰白質容積の違いを認めており、これまでの報告と同様に大脳基底核に異常を認めた。我々の結果は、これまでの痙攣性発声障害の脳機能の報告、その他のジストニアの脳機能の報告と同様であった。治療前後の脳活動に関しては、これまで言われているように音声リハビリで症状が改善した症例はなく、期間中に手術を行い治療をした症例は1例のみであった。この症例に関しては検討を行い、治療後症状の改善とともに発声による脳活動が全体的に小さくなったのを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常人と痙攣性発声障害群それぞれの発声時脳活動の違いに関しては、タスクを増やしより詳細な検討が行えたと思われる。しかし、治療後の脳活動測定に関しては音声の改善する治療(手術)を希望した症例は1例と少なく、十分な症例が確保できなかった。治療への発展という点ではまだ不十分と思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、タスクによって結果が違いがでるのであれば、タスクを用いない安静時fMRIによる研究を進めていきたいと考えている。閉眼安静時にも人間の脳は活動しており、その時の異常活動部位はタスクを用いた時の異常活動部位と相関することが報告されている。そのため、安静時の脳機能画像を撮影し、脳領域間の相互連関を計測することで、ひとつの領域だけではなく、いくつかの脳領域間の異常を見て治療につなげていける可能性があると考えている。脳外科とも協力し、非侵襲的な脳刺激を経皮的に行い、痙攣性発声障害の症状軽減に導く可能性がないかについて現在検討しているところである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
痙攣性発声障害症例を蓄積し6例をまとめて論文としたが、症例数を増やすべく努力をしていた。今年に入って症例数が増えてきたために、3月いっぱいでの症例数(13例)をまとめて学会に報告すべきであると考え、次年度の学会発表で使用する予算を繰り越すこととした。 平成26年度に行われる学会参加費用、論文投稿代に充てる予定である。
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