2011 Fiscal Year Research-status Report
沖縄県における前庭水管拡大症の遺伝学的特異性と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
23791914
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
我那覇 章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00347155)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 前庭水管拡大 / 遺伝子解析 / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
本研究においてこれまでに(1)前庭水管拡大に伴う難聴症例18家系に対してSLC26A4遺伝子解析を施行した。(2)18家系中14家系において遺伝子変異を認め、12家系 (67%) においてIVS15+5G→Aの変異を認めた。10家系 (56%)においてH723Rの変異を認めた。このことは、沖縄県においては日本人の前庭水管拡大症例において最も高頻度に認めるとされるH723RよりもIVS15+5G>Aの頻度が高いという遺伝学的特異性を確認した。(3)リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現解析を行った。その結果、IVS15+5G>A ホモ接合変異においては健聴者と比較しSLC26A4遺伝子発現を認めず、難聴の原因となるPoint mutationであることが証明された。これまで、IVS15+5G>Aがイントロン領域に存在することから、スプライシング過程に関連した異常が前庭水管拡大を生じる原因になると推察されていたが、本遺伝子変異に関する遺伝子発現解析の報告は無く証明はできていなかった。本研究によりIVS15+5G→Aは前庭水管拡大に伴う難聴の原因となるPoint mutationであることが証明された。以上、沖縄県における前庭水管拡大に伴う難聴症例の遺伝学的特異性とIVS15+5G>Aが前庭水管拡大に伴う難聴の原因である事を証明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間に実施する事は(1)沖縄県の前庭水管拡大にともなう難聴症例においてSLC26A4領域の遺伝子解析と発現解析を行い難聴の原因遺伝子変異と発現異常を明らかにする。(2)沖縄県の前庭水管拡大にともなう難聴症例の疾患発症率、保因者頻度を調査し、本疾患における沖縄県の遺伝子変異の特異性を明らかにする。(3)上記1,2の結果に基づき、沖縄県の遺伝学的特異性を考慮した前庭水管拡大症における難聴遺伝子診断法を確立する予定である。 これまでに遺伝子解析により沖縄県の遺伝学的特異性を明らかにした。また、遺伝子発現解析により沖縄県の前庭水管拡大症例において最も多く認めるIVS15+5G>Aが前庭水管拡大に伴う難聴の原因である事を証明した。 よっておおむね順調に進展していると自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)引き続き前庭水管拡大症例の評価を行う。(2)沖縄県の前庭水管拡大にともなう難聴症例の疾患発症率、保因者頻度を調査し、本疾患における沖縄県の遺伝子変異の特異性を明らかにするためコントロール群の解析を行う。(3)これまでの遺伝子解析症例のうち、SLC26A4遺伝子変異を認めなかった症例において原因となる遺伝子変異を同定する。(3)収集したデータを解析し沖縄県での効率的な難聴遺伝子診断法について結論付ける。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)引き続き前庭水管拡大に伴う難聴症例の遺伝子解析を進める。(2)原因となるSLC26A4遺伝子変異を認めなかった例に対して前庭水管拡大の原因と成り得る遺伝子変異を同定する。(3)保因者頻度解析目的にコントロール群における遺伝子解析を進める。(4)研究結果の解析、学会発表、論文作成を行う。以上に対し重点的に研究費を使用する計画である。
|