2012 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県における前庭水管拡大症の遺伝学的特異性と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
23791914
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
我那覇 章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00347155)
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Keywords | 前庭水管拡大 / 難聴 / 沖縄県 / 遺伝子変異 / 発現解析 / IVS15+5G>A |
Research Abstract |
本研究においてこれまでに ①症例を増やし、前庭水管拡大に伴う難聴症例21家系22症例に対してSLC26A4遺伝子解析を施行した。22症例中、21症例において遺伝子変異を認めた。9症例においてIVS15+5G>A/ H723Rの複合ヘテロ接合変異、6症例においてIVS15+5G>Aのホモ接合変異、5症例においてH723Rのホモ接合変異を認めた。 ②リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現解析を行った。その結果、IVS15+5G>A ホモ接合変異においては健聴者と比較しSLC26A4遺伝子発現を認めず、難聴の原因となるPoint mutationであることが証明された。これまで、IVS15+5G>Aがイントロン領域に存在することから、スプライシング過程に関連した異常が前庭水管拡大を生じる原因になると推察されていたが、本遺伝子変異に関する遺伝子発現解析の報告は無く証明はできていなかった。本研究によりIVS15+5G→Aは前庭水管拡大に伴う難聴の原因となるPoint mutationであることが証明された。 ③沖縄県出身者の健常者100人を対象にIVS15+5G>AとH723Rの保因者頻度を確認した。その結果、健常者100人においてIVS15+5G>A、H723Rとも保因者を認めなかった。 以上の検査結果より、沖縄県における前庭水管拡大に伴う難聴症例の遺伝学的特異性とIVS15+5G>Aが前庭水管拡大に伴う難聴の原因である事を証明した。
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