2011 Fiscal Year Research-status Report
HSV1型、2型による顔面神経・内耳神経への感染動態の評価とモデル動物の確立
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23791919
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山野 耕嗣 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20597819)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 顔面神経麻痺 |
Research Abstract |
特発性顔面神経麻痺においてHSV-1が大きな原因を占めることが証明されてきたが、めまい、難聴などでは大半が不明である。神経指向性のあるHSV等のウイルスが引き金になっている可能性を考え、モデルマウスの作成をめざして実験を行った。 HSV-1、HSV-2を経鼓膜的に右内耳に接種したところ、4-5日目より体重が減少し、8日までに全てのマウスが死亡した。臨床症状を詳しく検討したところ、4日目よりプライエル反射の消失する聴力障害マウスが増加した。また、5日目より平衡機能障害マウスが増加したが、平衡機能障害は徐々に悪化し、最終的には泳げなくなった。頭部の組織切片を作成し、内耳の感染細胞、アポトーシス陽性細胞の出現を検討したところ、内耳で血流豊富な血管条に強くHSV感染が認められた。コルチ器の周囲には感染は認められなかったがアポトーシス陽性細胞が多数認められた。また、らせん神経節は細胞変性が強く、HSV感染細胞も多数認められたが、アポトーシス陽性細胞は認められなかった。大脳においては神経細胞、神経謬細胞ともHSV感染が認められ、その一部でアポトーシス陽性細胞が認められた。一方、前庭器に関しては上皮細胞の一部にHSV感染が認められた。また前庭神経節においては細胞変性が強く、HSV感染細胞も認められたが、やはりアポトーシスは認められなかった。HSV-1、HSV-2について比較検討したが、明らかな差異は認められなかった。 以上の結果により、マウスの内耳にHSVを接種により聴力、平衡機能障害が出現し、HSV感染により聴力、平衡機能障害が出現することがわかった。今回のモデルではHSV感染そのものによる細胞障害やアポトーシスによる細胞障害など機能障害のおこる理由は細胞により異なることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に結果がでている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗アポトーシスペプチドを内耳に接種することによりアポトーシスを抑制できるのか、アポトーシスを抑制することにより臨床症状に何か差異があるのか検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織学的な評価を中心に実験する。また、前年度に行えなかった実験を追加し、また差異のでた項目につき、実験を追加して比較検討する。
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