2012 Fiscal Year Annual Research Report
HSV1型、2型による顔面神経・内耳神経への感染動態の評価とモデル動物の確立
Project/Area Number |
23791919
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山野 耕嗣 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20597819)
|
Keywords | Bell麻痺 |
Research Abstract |
我々は過去にHSV-1をマウス耳介に接種すると、1週間後に一過性の顔面神経麻痺を呈するモデルマウスを作成し、顔面神経麻痺の研究を行ってきた。ストレプトゾトシンで膵島を破壊した糖尿病マウスを用い、耳介を擦過しHSV-1 KOS株を接種すると顔面神経麻痺を生じやすかった。コントロール群に比べて顔面神経麻痺の程度が悪いこと、罹患期間が長いことを認め、電気生理学的、組織学的にも神経の変性の悪化が認められることを報告した(Otology & Neurotology, 2012)。 同じ接種経路でHSV-1、HSV-2野生株(F株、186株)を接種しても、同様に一時的な顔面神経麻痺を引き起こした。顔面神経膝神経節を薄切したところ、神経節細胞の浸潤細胞にapoptosisを認めたが、神経節細胞や周囲の衛星細胞にはapoptosisを認めなかった。HSV-1、HSV-2のapoptosis抑制に関わるUS3を欠損させたウイルス(R7041株、L1BR1株)では顔面神経麻痺を認めず、HSVによるapoptosis抑制が病原性に関与している可能性が考えられた(未発表)。 マウス中耳にHSV野生株を接種したところ、HSV内耳炎によりめまい、難聴をおこし、その後脳炎をおこして死亡した。中耳、大脳を薄切して調べたところ、HSVが中耳、内耳を経由して大脳に感染している組織像が認められた。US3を欠損させたウイルスを接種したところ、一部のマウスは内耳炎を呈した。内耳切片を調べたところ、内耳でapoptosisをおこしていたが、大脳に感染は波及していなかった(Acta Otolayngol, 2011)。
|