2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791923
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山下 哲範 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50588522)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨導超音波 / 弁別能 |
Research Abstract |
骨導超音波補聴器の実用化に向けて、その語音聴力に着目し、年齢や難聴のタイプ別・聴力別に異聴を調べることで、骨導超音波補聴器システムの最適化を目指す研究を行っている。これまでに我々は、骨導超音波補聴システムを用いて、健聴者には骨導超音波単音節による明瞭度が約75%であることを報告してきた。しかし異聴内容に関しては明らかな傾向を得られておらず、その傾向を見出し、また、単語や文章の弁別能を測定する必要があると考えられた。 現在の試作器においては振幅方法は振幅変調を用い、変調度は100%変調としていた。本年度は変調度を数種類使、語音明瞭度を測定する実験を試みtらが、現在使用している100%変調が一番良好に弁別できることが分かった。また、他の変調方式(周波数変調など)による言葉の伝達方式も試行したが、言葉としてはっきり弁別できる変調方式は聴覚正常者でも得ることができなかった。以上のことから、現行のシステムが骨導超音波を一番効率的に伝達することができると考えるに至った。 聴力正常者では、日本語単音節50語の母音部の弁別を検討したところ、/い/と/う/、/え/と/お/の間で集中して異聴が認められていることが判明し、可聴音における第二フォルマントが聴取困難な状況と同一であることが分かった。 また、平成24年度に予定していた難聴者における弁別検査も、2名行えた。症例が少なく、現在は難聴者における異聴傾向は確認できないが、今後症例を増やして検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は健聴者による実験を行う計画であった。その中でも、骨導超音波の母音弁別能に関しては、一定の異聴傾向を認め、研究の成果があったと考えられる。一方で、子音の弁別に関しては、明らかな異聴傾向が認められず、今後の課題の一つになったと思われる。また、単語・文章を用いた弁別検査は子音弁別の傾向がつかめなかったため、遂行できず、次年度に繰り越しとなった。骨導超音波歩調システムの変調方式や、変調度に関しては、現行の補聴システムの信頼性・安定性を担保することができた。現行の補聴システムをもちいて次年度に予定している難聴者による測定に進めることが確認できた。次年度に予定していた難聴者を用いた骨導超音波弁別検査を前倒しして開始することができた。この点に関しては、計画が順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度にこれまでに開発した骨導超音波補聴システムの評価や、実用化に向けた最適化を進めることが可能であった。今後、本年度に行えなかった、単語や文章の弁別能の測定、単音節においては子音の異聴傾向を最初に測定する。その後は実験対象を難聴者に変更する。難聴者の可聴音に対する聴能機能を評価するために、純音聴力検査・語音聴力検査・内耳機能検査・後迷路検査を行い難聴者を分別する。その後、難聴のレベルや疾患、年齢などを加味しながら、骨導超音波の語音聴取能を評価する。可聴音で得られた聴覚機能の評価と骨導超音波システムを用いた実験の結果を比較し、どのtypeの難聴者にどの程度有効であるのかを検討する。そのうえで、可聴音と骨導超音波の知覚特性についても検討を行う予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度における既存のシステムを用いた実験により、現行の骨導超音波補聴システムで最適な伝達環境を整えることができることが示されたため、プログラミングの改良や補聴システムに改良に研究費を費やさずに実験を進めることが可能であった。平成24年度には難聴者を対象とした実験を行う予定にしており、難聴者の骨導超音波語音弁別検査の結果によっては、骨導超音波補聴器のさらなる改良が必要になってくると考えられる。繰り越し額に関してはさらなる改良費として必要になると考える。
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