2011 Fiscal Year Research-status Report
扁桃病巣疾患におけるTh17/制御性T細胞サブセットの役割に関する研究
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23791927
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
林 正樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30574230)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | IL-17 / Th17 / PPP |
Research Abstract |
(方法)1. インフォームドコンセントを得てから、PPP患者の足底皮膚を採取、凍結切片を作成し、足底皮膚病変に浸潤するリンパ球内のIL-6、IL-17、IL-22、IL-10、IFN-rの発現を免疫組織学的に検討した。2. SCIDマウスにPPP患者由来の足底皮膚と扁桃および末梢血リンパ球を移植し、4週間後に、移植皮膚とその血清を採取した。移植皮膚の凍結切片を作成し、ヒトTリンパ球浸潤とサイトカイン発現を免疫染色で調べた。また、血清中のIL-6、IL-17、IL-10、IFN-r濃度をELISA法で測定した。(結果)1. PPP患者の足底皮膚に浸潤するリンパ球において、各サイトカイン陽性リンパ球浸潤度を×400倍視野あたりの陽性リンパ球数(/HPF)で検討した。IL-17陽性リンパ球は7症例中、最大値15/HPF, 中央値5/HPFであったのに対し、IFN-r、IL-10陽性リンパ球はそれぞれ最大値1/HPF, 3/HPF、中央値0/HPF、1/HPFであった。2. 移植皮膚にヒトTリンパ球浸潤を認めた扁桃リンパ球移入郡症例において, 血清中ヒトIL-17、IL-6濃度の上昇が認められた。また、移植皮膚へ浸潤するリンパ球において最大7/HPFのIL-17産生T細胞が確認された。(考察)PPP患者の皮膚病変に浸潤するTリンパ球において、IL-17の発現が強くみられたことや、.SCIDマウス移植皮膚においてPPPのTリンパ球浸潤を認めた症例において血清中ヒトIL-17が上昇していたことから、PPP病態形成においてTh17が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ヒト/SCIDキメラマウスの作成について、90%以上の移植皮膚生着率を達成している。2.移植皮膚浸潤Tリンパ球のサブセットの検討;Th17細胞が移植皮膚上皮に浸潤することが免疫染色にて確認された。3.マウス血清中サイトカインから病態に関与するT細胞サブセットを検討;SCIDマウス血清中にヒトIL-17の検出に成功した。これらの結果は、研究開始前に想定していた結果であり、実験はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験は、当初の計画通りに進んでおり、下記のように次年度計画へすすむ予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)末梢血リンパ球、扁桃リンパ球のIL-17、IFN-r、IL-10産生細胞の検出と調査当科で扁桃摘出術を施行するPPP患者と睡眠時無呼吸症候群患者(コントロール群)から末梢血と、摘出した扁桃を提供していただき、比重遠沈法でリンパ球を分離する。このリンパ球を12時間培養し、ERISPOT法にてこれらのリンパ球におけるIL-17,IFN-rの産生細胞数を測定する。PPP患者群はPPPスコアを用い軽症群、重症群に分類し、コントロール群とあわせた3群の間にIL-17産生細胞数の有意な差があるか検討する。IL-17は、IL-22とともに慢性皮膚疾患において皮膚症状を増悪させるサイトカインとして注目されており、PPPの重症度との相関が存在するかは興味深い点である。(2)PPPスコアの算出;これまで掌蹠嚢胞症の皮疹のスコアリング方法に確立されたものはなく、皮疹の重症度や扁摘の治療効果の判定は、医師や患者の主観的な評価により行われる傾向にあった。われわれは、平成12年からPPPスコアを用いて掌蹠嚢胞症の扁摘効果の予後を追跡している。われわれは、原則として術前と、術後3,6、12、18ヶ月後に当科扁桃外来にて、同一担当医師が診察を行い、皮疹のスコアリングを行っている.客観性を高めるため、診察の際、膿疱、紅斑、角化の各因子の各段階に一枚ずつ基準となる写真を用意し、判定の参考としている.(3)扁摘長期予後におけるTh17細胞の変化扁摘後1年以上経過した症例の、末梢血を採取し、(1)と同様な方法で、末梢血リンパ球のIL-17、IFN-r、IL-10産生細胞数を測定する。扁摘前の産生細胞数と比較し、またPPPスコアの変化との相関について検討する。
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Research Products
(1 results)