2011 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛内完全埋込み型人工コルチ器作製へむけた人工シナプス形成を確立するための研究
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23791930
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
増田 正次 杏林大学, 医学部, 助教 (20317225)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 人工シナプス / コーティング |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、らせん神経節細胞と人工物との間に人工シナプスを形成させることである。人工シナプス形成の確認には、蛍光免疫染色を用いる予定なので、そのために必要な(1)培養容器、(2)培養方法、(3)免疫染色法、(4)顕微鏡の調整を、確立する必要があった。まず(1)の培養容器についてであるが、時間、経済的に効率よく組織培養ができ、且つ微細構造の撮影に適した容器を使用する必要があった。23年度から24もしくは25年度まで使用する予定であり、今後の実験の進行に多大な影響を与えることになるため慎重に選定を行った。(1)と併せて(2)の培養方法の検討を行った。主に、コーティング素材についての検討を慎重に行った。何故なら、コーティング素材が、人工シナプス形成に最も重要な要素だと予想されるからである。従来らせん神経節組織培養に行われていたコーティングは、複数種のコーティング剤を用いるため、コーティング材料だけで複数種の化学物質の影響を培養系に与えてしまうことになる。これでは、どのコーティング剤がどのような特異的な影響を人工シナプス形成に及ぼすかを検討する際に、非常に複雑な実験系になってしまい、研究目的を効率的に検討するのには適していなかった。23年度は、実験系をシンプルにしつつ、今後の実験の発展に最適と考えられる化合物一種のみで組織培養が可能であることを明らかにした。以上の培地条件で、らせん神経節組織とコルチ器の共培養が可能であることを確認した。次に、(3)免疫染色に関する検討を現在も行っている。免疫染色に関してはまだ改善を必要としている状態である。(4)顕微鏡に関しては、本研究に必要な倍率、解像度を持った顕微鏡が使用できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究実施以前から習得していた、らせん神経節組織培養方法を改変することで、本研究目的に合致する実験系が確立できた。従来から汎用されてきた、培養容器のコーティングは必ずしも必要ではなく、本実験に限らずらせん神経節を用いた様々な実験を施行するにあたって、効率よく且つその実験にあったコーティングを選択可能であることが判明した。シナプス形成を示す物質に対する蛍光免疫染色に関して、まだ、非特異的な反応を示している可能性が除外しきれていない。さらなる、使用抗体、ポジティブ、ネガティブコントロール、抗体希釈率の検討を要している。この点で、やや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究予定は、従来の研究計画と大差ない。特に24年度は、培地中に人工物を入れて、人工シナプス形成がどのように起こるかを詳細に検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度中に、らせん神経節細胞の生存、軸索延長に関わり、過去に検討されていない化合物を文献的に検討していた。この化合物に使用する費用がどれくらいになるか23年度中には判明しておらず、24年度使用額へ計上するようにした。23年度に免疫染色法の検討を行っていたが、研究費を無駄にしないよう、一度に多数の抗体を用いた網羅的な染色方法の検討を避けた。そこで、進行にやや遅れが出て、抗体にかかる費用が次年度使用額にまわった。
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