2012 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛内完全埋込み型人工コルチ器作製へむけた人工シナプス形成を確立するための研究
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23791930
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
増田 正次 杏林大学, 医学部, 助教 (20317225)
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Keywords | らせん神経節細胞 / 人工シナプス / 感音難聴 / 治療 |
Research Abstract |
研究の目的は人工物とらせん神経節の軸索との間にシナプスを形成させること、いわば人工シナプスを形成することである。 らせん神経節細胞と有毛細胞は生体内で本来シナプスを形成している。この両者を機械的に一度分離し、その後らせん神経節を含む周囲組織とコルチ器を含む周囲組織を同一ウェル内に共培養した。その結果、らせん神経節細胞の軸索が周囲組織により細かく分断される現象が見られた。この現象を生体内の現象に照らし合わせて考えてみると、瘢痕組織の存在により強力に軸索の慎重が阻害される可能性が示唆された。また、この観察された現象が実際の生理現象とは違ったいわばartifactではないかを検証する必要が生じた。これは、当初の研究実施計画には含まれていなかった事項である。 らせん神経節細胞培養液中に、特殊物質でコーティングした人工物を投入した場合、らせん神経節細胞と特殊物質との間に人工シナプスが形成されたことを示唆するような物質の存在(pre-synaptic marker)を免疫染色法により確認した。しかし、ここで使用した抗体が高い特異度で本当にシナプスマーカーを検出しているか慎重な検討を要すると考えている。そのため、更に複数種の抗体による定性的分析を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.瘢痕組織存在下での軸索伸長について検討を追加する必要が生じた。 2.人工シナプス形成がなされた可能性は見いだしたが、その評価方法に更なる検討が必要になった。 以上2点の検討事項が生じたため、従来予定していた以下の点については検討がなされていない。 1.様々な神経栄養因子が人工シナプス形成に及ぼす影響。 2.様々な人工物の材質が人工シナプス形成に及ぼす影響。
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Strategy for Future Research Activity |
以下2点が今後の推進重点課題である。 1. 人工シナプスが形成された証拠をより確実な方法で示すこと。そのために、予定していたpre-synaptic markerに加え他のpre-synaptic markerが人工シナプス上に存在するか検討する。 2. シナプス形成促進分子が人工シナプス形成に与える影響を検討すること。いくつかの候補分子をすでに選定してある。これを培養液に混合または、人工物のコーティング剤に混合して人工シナプス形成への影響を見る。 使用動物種をラットからマウスに変更する可能性もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物と試薬の購入が大部分を占める。 作業をより効率的に進めるため、培養組織準備のための実体顕微鏡を現行のものにもう一台追加で購入する可能性がある。
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