2014 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛内完全埋込み型人工コルチ器作製へむけた人工シナプス形成を確立するための研究
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23791930
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
増田 正次 杏林大学, 医学部, 講師 (20317225)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | らせん神経節細胞 / 内耳 / 聴力 / シナプス / 神経成長因子 / 蝸牛恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は人工物と蝸牛らせん神経節細胞の軸索との間に人工シナプスを形成させることである。 前年度行ったコルチ器とらせん神経節組織の共培養では、コルチ器周囲の細胞群により軸索の伸長が阻害される現象を観察していた。これは、コルチ器障害後に形成される瘢痕が、シナプス再生を阻害する可能性を示唆する所見であり、今後の再生医療の発展を考えた場合、解決すべき重要な現象である。この瘢痕を除去し、かつ感覚細胞とその支持細胞を共培養できる方法を発見するだけでも非常に有意義な研究となったのだが、そこまで十分な時間が割けなかった。 当初の計画では、人工ビーズに細胞接着因子を吸着させるだけで人工シナプスが形成される予定であった。これは、既に胎児マウスの海馬ニューロンを用いて確立された方法であった。しかし、生後ラットまたはマウスのらせん神経節細胞ではこの現象を確認できなかった。 そこで、本年度は人工ビーズを神経成長因子でコーティングした。その結果、軸索がそれらのビーズへと伸長して行く現象を観察できた。この現象を生じるには一定のビーズ塊の大きさまたは神経成長因子の濃度が必要である可能性が示唆される結果であった。 本研究の遂行過程で、培養環境の相違が組織成長に予想以上に影響を与えることが分かった。これは、蝸牛内のリンパ液を含めた蝸牛恒常性の維持が組織維持、再生に非常に重要であることを再認識する結果であった。よって、蝸牛環境の重要性(例えば蝸牛外側壁によるリンパ液組成のコントロール)にも注目して研究を続けて行く重要性を認識した。
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