2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791933
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽生 昇 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60365369)
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Keywords | 癌幹細胞 / 頭頸部癌 |
Research Abstract |
DNA結合色素Hoechst33342を用い舌癌扁平上皮癌細胞株をflowcytometryにてsortingした結果,癌幹細胞様細胞のSPはSASにて0.9%、HSC4にて0.7%、SCC4にて10.2%、それぞれ認められた。Microarrayの解析で、癌幹細胞関連遺伝子の発現、上皮間葉移行関連遺伝子の発現をSCC4のSP細胞とnon SP細胞の間で比較した結果、SP細胞で転写因子Oct3/4、Nanog、CD44およびABC transporterのABCG2の発現が強かった。上皮間葉移行の遺伝子の発現には有意差を認めなかった。SP細胞とnon SP細胞では、上皮間葉移行の発現レベルは同程度であることが考えられた。RT-PCRにおいてもOct3/4,NanogのSP細胞は発現が強かった。次に初回治療として舌部分切除のみを行い、3年以上経過観察したstage I/II舌扁平上皮癌例のうち原発巣標本を入手しえた41例を対象に、Oct3/4とNanogの発現を免疫染色にて評価し,後発頸部リンパ節転移(delayed neck metastasis: DNM)との関係について検討した。DNMは13例(31.7%)に認められ、Oct3/4、Nanogの発現との間に有意な相関が認められた。 最終年度には、DNMに寄与したと考えられた癌幹細胞の機能に関してを検討した。SCC4のSP細胞がnon SP細胞と比較して増殖能には差を認めないが、遊走能、浸潤能が高かった。この遊走能や浸潤能が、癌幹細胞を発現していた舌癌検体でDNMに寄与していたのではないかと考えられた。 頭頸部扁平上皮癌には癌幹細胞が存在し,その指標としてOct3/4、Nanogが有用である可能性,およびこれら指標を発現する癌幹細胞様細胞の存在がDNMに寄与している可能性が示唆された。
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