2011 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部扁平上皮癌の多段階発癌におけるNiban遺伝子の発現
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23791935
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 伸 順天堂大学, 医学部, 助教 (80365577)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Niban / 頭頸部癌 / 腫瘍マーカー / ストレス蛋白 / 多段階発癌 |
Research Abstract |
Nibanはヒトでは、正常腎には発現していないが、ヒト散発性腎癌に発現がみられている。同遺伝子の機能は未知ではあるが、ストレスタンパクの一種と推定されている。そのNibanタンパクの機能解析がよりスムーズに行えるように、頭頸部癌症例からの検体のみではなく、多くの検体を得るため頭頸部癌の実験モデルを作成し実験を進めている。継代培養を行っているヒト口腔癌扁平上皮癌細胞株であるKB細胞を細胞密度が8.0×106細胞/mlに調整し6週齢ヌードマウスのBALB/c-nu/nuの舌縁に26G針で移植し口腔癌モデルを作成した。約3週間後にヌードマウスを屠殺し口腔内に形成した腫瘤や確認できたリンパ節転移を摘出し組織片を作成した。それらの組織片のH-E染色標本を作製し顕微鏡検査にて扁平上皮癌の発癌を確認した。さらに発癌が確認できた組織に関してパラフィン包埋し厚さ3μmの切片を作成した。現在それらの切片をNibanのN末ペプチドに対する、ウサギ抗ヒトNiban抗体を用いEnVision+System-HRP法にて免疫組織化学染色を行っている。免疫組織化学染色の個体数が確保できNiban遺伝子の発現が免疫染色レベルで確認できれば、RT-PCRなどの技法により核酸レベルの確認を行う予定としている。Niban遺伝子の発現程度と頭頸部癌の予後に関して統計学的検討を行ったところ、両者間に明らかな統計学的相関関係を認めなかった。トピックスとして我々の所持しているNibanのノックアウトマウスでは正常のマウスよりも体重増加が目立つ傾向にあると確認が取れており、発癌との関係、タンパク機能解析に貢献するものとし研究方法を模索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の症例についての統計学的検討は、比較的容易に行えたが、タンパク機能解析については、まず実験方法の妥当性から評価する必要性があり、また多くの個体数が必要と考えられ、実際の症例のみならず、ヒト頭頸部がんモデルの作成など、実験方法の確立までに時間がかかり遅延の大きなファクターとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
病変部および非病変部からマイクロディセクションを行い、核酸を抽出しNiban遺伝子の発現解析を行う。各種組織学的、免疫組織化学、電子顕微鏡学的検索および遺伝子・タンパク質解析法を組み合わせて総合的に検索することにより、preneoplasticな状態から発癌に至る過程におけるNiban発現と、その役割関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究遂行のための基盤となる器機は十分に整備されているので、実験に必要な消耗品(器具、試薬)が必要である。研究成果公表のための学会発表ならびに研究協力者への謝金、資料収集の費用などが必要である。
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