2012 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部扁平上皮癌の多段階発癌におけるNiban遺伝子の発現
Project/Area Number |
23791935
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 伸 順天堂大学, 医学部, 助教 (80365577)
|
Keywords | Niban / 頭頸部癌 / アポトーシス |
Research Abstract |
2年間で当科では約60件程度の新規頭頸部扁平上皮癌症例の手術摘出病理検体を回収した。臨床統計学的検討を行った結果、TNM分類(癌の進行度)とNibanの発現度、放射線治療や化学療法後の症例におけるNibanの発現度、Nibanの発現度と予後の相関関係、そのすべてにおいて統計学的有意差は認められない結果であった。しかしこの検討では症例数は約40例程度であり今後さらなる症例の蓄積が必要である。ヒト頭頸部癌症例からの検体のみではなく、効率よく研究を進めるために、マウス頭頸部癌の実験モデルを作成した。継代培養を行っているヒト口腔癌扁平上皮癌細胞株であるKB細胞を細胞密度が8.0×106細胞/mlに調整しヌードマウスのBALB/c-nu/nuの舌縁に26G針で移植し口腔癌モデルを作成し腫瘍のサンプルを採取し保存している。それにより前癌病変から進行癌までの細胞・組織を容易に採取することが可能になったと考える。Haitao Jiらは、人の肺癌細胞とglioblastoma細胞に紫外線で外的ストレスを与えNibanの機能解析を行った。その報告として、紫外線照射によってAKTが活性化されNibanのリン酸化が引き起こされる。リン酸化されたNibanはnucleophosmin(NPM)と結合しNPMとmurine double minute 2(MDM2)の結合を妨げる。その結果フリーなMDM2が増加し、がん抑制遺伝子であるp53と結合することによってp53を分解する。p53が分解され、その機能が抑制されることにより、細胞のアポトーシスが阻害され、がん細胞が無秩序に増加するというメカニズムが解明されてきている。 このように、Nibanの多段階発癌に関する役割は少しずつ解明されているが、まだまだ未知の機能があると思われる。今後も注目に値する遺伝子であるため本研究の継続が必要と考える。
|
Research Products
(1 results)