2011 Fiscal Year Research-status Report
難治性副鼻腔炎と下気道疾患の関連-IL-33による粘膜組織内の相互作用について-
Project/Area Number |
23791943
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
和田 弘太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20307482)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 副鼻腔炎 / 喘息 / IL-33 / Alternaria / ウィルス感染 |
Research Abstract |
慢性副鼻腔炎の中で、アレルギー素因、特に気管支喘息やアスピリン喘息など好酸球性の炎症疾患を有する患者は治療に抵抗し、難治性副鼻腔炎とされる。気管支喘息やアスピリン喘息も同様に、治療は確立されつつあるが、根本的な病因の解明には至っていない。そこで、我々は副鼻腔粘膜、鼻ポリープを用いて、これら難治性副鼻腔炎の原因を追究し、最終的には気管支喘息、アスピリン喘息の病因に迫りたいと考えている。これらの疾患は、好酸球性副鼻腔炎という概念が提唱されており、難治性副鼻腔炎とされ、気管支喘息やアスピリン喘息と同様に根本的な病因は不明である。私は難治性副鼻腔炎患者と喘息患者は局所好酸球浸潤が多いこと、細菌やウィルス感染後に症状が増悪する事実に着目した。副鼻腔炎、気管支喘息の発症因子と難治化因子の解明を目的として研究を立案した。昨年度後半は患者サンプルを用いた検討を行う予定であったが、到達できなかった。昨年度はpreliminaryな実験を行った。セルラインの上皮細胞を用いて、IL-33、PolyICで刺激を行ったが優位なサイトカイン産生は得られなかった。上皮細胞への反応は、単刺激では難しいと考えられる。昨年度、参加した学会での報告を検討しても、TNF-alpha, TGF-betaなどのを加える必要もあると考えられる。これは、おそらくIL-33の産生は炎症性サイトカインとともに刺激を行うことで得られるものと考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の後半は患者サンプルを用いた実験を行う予定であったが、セルラインを用いた実験で予想した結果が得られなかった。これはIL-33がベースに炎症がある状態で、さらに感染などが加わった場合に産生されると予想された。そのため、今年度は患者サンプルを用いて、複数の刺激物を用いて検討を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は患者サンプルを用いた実験を行う予定である。患者を(1)健常人(下垂体腫瘍、眼窩壁骨折患者) (2)喘息非合併患者 (3)アトピー型気管支喘息合併患者 (4)非アトピー型気管支喘息合併患者 (5)アスピリン喘息合併患者の5群に分類し検討を行う。それぞれの群より上皮細胞、線維芽細胞を培養しIL-33、Alternaria、Poly ICをTNF-alphaなどの炎症性サイトカインとともに刺激を行い検討を行う予定である。 残金790,268円については、患者サンプルを用いた実験まで到達できず未使用となったが、平成24年度に交付される研究費と合わせて患者サンプルより培養した上皮細胞、線維芽細胞を用いた実験を行い計画を推進する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、細胞培養用の培地、培養皿、刺激物であるAlternaria,Poly IC, IL-33、またタンパク質、mRNAを測定するためのELISA、mRNA測定キットを購入する。また、国内外の学会に最新の知見を得るために参加する予定である。
|