2011 Fiscal Year Research-status Report
咽頭蠕動波は咽頭期嚥下の絶対的な基準となり得るか?
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23791944
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 智 日本医科大学, 医学部, 助教 (70386209)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 咽頭蠕動波 / 嚥下運動 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
正常ボランティアを対象に、嚥下時の咽頭蠕動波の発現形態と運動制御機構について観察を行っている。X線透視装置を用いて、バリウム嚥下時の咽頭蠕動波の発現と食道入口部方向への進行の形態を観察すると共に、同時に咽頭筋を中心とした嚥下関連筋へのhooked wired electrodeによる多チャンネル筋電図を行い、咽頭期嚥下運動の全体の運動様式と筋活動の様式と時間的配列の関係を明らかにすることを目的とし、また、同様に嚥下圧測定を行い、咽頭蠕動波の発現形態と運動制御機構の時間的・量的な関係を明らかにすることを目的とした。また、下顎、舌、舌骨、喉頭の運動との関連性について、正常人を用いて、機能生理学的に解析を行っている。現在、これらの結果を集めるとともに、解析を行っているところである。また、更に、臨床例からも検討を行い、延髄障害例における咽頭蠕動波の異常形態とその発現機構、経過についても検討を行っている。これらを併せて咽頭蠕動波の発現が咽頭期嚥下運動の基準となり得るかを統計学的手法を駆使して証明しようと考えている。今迄、咽頭期嚥下の絶対的な基準が示されていなかったことから、嚥下障害の評価や治療について、明確な指針が示されていなかったが、これにより咽頭期嚥下の新たな、またエビデンスレベルの高い治療指針が作製される可能性が高い。本研究は実際の嚥下障害評価の際に、疑問を感じていることであり、本研究により咽頭期嚥下の絶対的な基準が咽頭蠕動波であることが証明されれば、実臨床での嚥下障害評価、治療に大いに貢献するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常ボランティアを対象として、嚥下時における咽頭蠕動波の発現と運動制御機構について、機能生理学的な手法を用いて観察・解析を行っており、具体的には、hooked wired electrodeを用いた多チャンネル筋電図の同時記録と、嚥下時のVTR-X線透視画像と重ね合わせて記録し、解析を行っている。対象となる正常ボランティアと検査日を合わせることが比較的困難であり、統計処理を行うほどの対象が集まらないことが理由として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も前年度同様、引き続き、正常ボランティアを対象に、嚥下時の咽頭蠕動波の発現形態と運動制御機構について観察を行う。また、得られた結果を臨床例について確かめ、更に、超高速同期MIR撮像法、超音波断層法を用いての観察も行うことで実験結果により客観性を持たせ、咽頭蠕動波の咽頭期嚥下の絶対的基準であることのエビデンスを求める。また、延髄障害例における咽頭蠕動波の異常とその経過についても同様に解析を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品である白金ウレタンコーティング絶縁筋電図ワイヤーを購入し、上記実験を継続して行う。また、連続複数咽頭内圧測定装置を購入し、上記実験と合わせて、解析を行うこととする。
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Research Products
(6 results)