2012 Fiscal Year Research-status Report
咽頭蠕動波は咽頭期嚥下の絶対的な基準となり得るか?
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23791944
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 智 日本医科大学, 医学部, 助教 (70386209)
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Keywords | 咽頭蠕動波 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
正常ボランティアおよび臨床例において、X線透視装置を用いて、造影剤嚥下時の咽頭期嚥下運動の観察を行い、咽頭蠕動波の発現と喉頭挙上や食道入口部の開大のタイミングの時間的関係について解析した。これまでの報告通り、咽頭蠕動波の発現と食道入口部の開大は正常ボランティアおよび臨床例ともにその時間は一定に保たれていることが確認でき、喉頭挙上と咽頭蠕動波の発現の順序が、誤嚥を認める例と認めない例とで異なることがあることが判明した(H24 11 気管食道科学会で報告)。この結果は、咽頭期嚥下における嚥下障害を発症する許容範囲の破綻の基準に咽頭蠕動波の発現が関与している可能性を示唆しているものであった。今後は症例をさらに増やし、疾患ごとに特徴があるかの研究を継続する予定である。同時に、機能生理学的な解析による証明のため、前年度から引き続き、正常ボランティアを対象に、バリウム嚥下時の咽頭蠕動波の発現と食道入口部方向への進行の形態、下顎、舌、舌骨、喉頭の運動を観察すると共に、同時に咽頭筋を中心とした嚥下関連筋へのhooked wired electrodeによる多チャンネル筋電図を行い、嚥下時の咽頭蠕動波の発現形態と運動制御機構について観察を行っている。こういった機能生理学的手法を用いた解析と臨床例におけるデータから、嚥下障害を発症する許容範囲の破綻の基準と咽頭蠕動波の発現との関連性につき、解析を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常ボランティアおよび臨床例において、X線透視装置を用いて、造影剤嚥下時の咽頭期嚥下運動の観察を行い、咽頭蠕動波の発現と喉頭挙上や食道入口部の開大のタイミングの時間的関係について解析し、誤嚥を発症する原因にその時間的関係が関与する可能性が示唆された。機能生理学的な証明のため、前年度に引き続き、正常ボランティアを対象として、嚥下時における咽頭蠕動波の発現形態と運動制御機構について、具体的にはX線透視装置による嚥下運動の観察と同時にhooked wired electrodeを用いた多チャンネル筋電図の記録を行っている。やや遅れている理由として、対象となる正常ボランティアと検査日を合わせることが比較的困難なことから、統計処理を行うほどの対象が集まっていないことからが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も前年度に引き続き、正常ボランティアを対象に、嚥下時の咽頭蠕動波の発現形態と運動制御機構についての観察を、hooked wired electrodeを用いた多チャンネル筋電図の記録を併せて行い解析を行っていくと共に、臨床例においての咽頭蠕動波と喉頭挙上の時間的関係の解析を引き続き行っていく予定である。臨床例の解析には、延髄障害などの疾患ごとに解析を行い、結果にエビデンスを求めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品である白金ウレタンコーティング絶縁筋電図ワイヤーを今年度も購入し、上記実験を継続して行うこととする。また、連続複数咽頭内圧測定装置の購入も検討しており、上記実験と合わせて解析に加えていくことも検討している。
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