2013 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭蠕動波は咽頭期嚥下の絶対的な基準となり得るか?
Project/Area Number |
23791944
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山口 智 日本医科大学, 医学部, 助教 (70386209)
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Keywords | 嚥下障害 / 咽頭期嚥下運動 / 咽頭蠕動波 |
Research Abstract |
咽頭期嚥下運動は、延髄の嚥下中枢に反射性に制御される時間的にも空間的にも再現性が極めて強くパターン形成された運動である。咽頭期嚥下運動開始の基準の報告は様々あるが、嚥下運動の相対的な基準であったために、全ての嚥下障害に対して有用な評価法とはなり得なかった。そのため、咽頭期嚥下障害の治療指針が未だに一定になっていない原因の一因であると考えられる。これに対して、咽頭期嚥下運動のうち、最も恒常的に発現するものは咽頭蠕動波であり(棚橋, 1967)、咽頭蠕動波の発現が咽頭期嚥下の絶対的な基準点として最も相応しいものと考えられる。しかし、咽頭蠕動波の発現を咽頭期嚥下障害の基準として観察を行った報告は無く、本研究では、嚥下時のヒトの咽頭蠕動波の発現機構を機能生理学的研究により明らかにし、咽頭期嚥下運動の絶対的な基準としての立場を明確にすることを目標とした。 以前より咽頭期嚥下運動の解析では、喉頭の挙上運動を指標として報告されていたため、前年度においては、喉頭挙上運動と咽頭蠕動波の時間的関係をX線透視画像から解析し、喉頭挙上運動は変動が大きく、咽頭蠕動波はほぼ一定していることが確認でき、咽頭蠕動波を基準にしたリハビリテーションの有用性の可能性が示唆された(H24 日本気管食道科学会で口演)。最終年度では、咽頭蠕動運動を消化管の蠕動運動と比較して検討し、消化管の蠕動波が内輪筋と外縦筋との協調運動によっておこることに着目し、その内輪筋に相当する咽頭収縮筋と外縦筋に相当する咽頭挙筋との協調運動によって発現している可能性を考えた。そこで、咽頭の挙上運動と収縮運動の関係をX線透視画像から解析すると、その関係は相関を持って協調していることが判明し、咽頭蠕動運動と消化管蠕動運動は類似した運動であり、咽頭の挙上運動は咽頭蠕動波の発現に強く関与している可能性が示唆された(H26、嚥下医学会にて口演)。
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