2012 Fiscal Year Research-status Report
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23791945
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
深澤 雅彦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (70410090)
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Keywords | 前庭代償 / 小脳片葉 / プロテオミクス |
Research Abstract |
前庭代償モデルラットの前庭代償急性期(48時間後)と慢性期(1週間後)に小脳片葉(破壊側、対側)を摘出、タンパク質を抽出。蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システム(2D DIGE)を用いスポットの発現を確認。コントロールと比較し、MALDI-TOF mass spectrometerにて質量分析を行った。得られたデータを解析しタンパク質の同定を行った。前庭代償に関与するタンパク質としてN-ethylmaleimide-sensitive fusion protein (Nsf)等10種類のタンパク質を同定した。NSFはその翻訳後修飾が前庭代償急性期に関与している可能性が示唆された。NSFはゴルジ体層板間の小胞輸送において小胞の膜融合に関与する因子である。 まずNsfの翻訳後修飾の解析を、ETD (Electron Transfer Dissociation)-Ion Trap MSを用いた LC-MS/MSにより、解明しようと試みたが、翻訳修飾の同定にまでは至らなかった。 次に、NSFの翻訳後修飾として報告があるものとして、リン酸化、ニトロシル化があることから、まずラット小脳片葉におけるNSFおよびニトロシル化タンパク質の検出を、N-ニトロシル化抗体を用いWestern-Blotting法にて同定を試みた。ラット小脳片葉タンパク質を1次元電気泳動法、2次元電気泳動法を用い、SYPRO Ruby染色し、N-ニトロシル化抗体を用いてWestern-Blotting法を行った。結果は、1次元電気泳動、2次元電気泳動ともにNSFがニトロシル化修飾していることは証明されなかった。N-ニトロシル化抗体はシステイン残基への認識抗体なので、システインCyDyeは使用できなかったため、SYPRO Ruby染色を用いたが、NSFのスポット位置が確定できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年も昨年に引き続き、同定されたタンパク質のうちNSFにしぼった機能解析を行っている段階であり、最終目標としての前庭機能障害の治療標的となりうるタンパク質の同定、前庭代償の分子メカニズムの解明、めまいの治療薬の創薬や、前庭代償過程を進めることのできる技術の開発にはまだまだ到達されていない現状である。 プロテオミクスにより、網羅的な解析ができる反面、個々の機能解析には、それぞれさらに予備実験を要する点、ならびに実験結果が予想に反する場合に直面することが多々あることが、遅れている要因と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
短期目標として、同定されたタンパク質に対し個々に機能解析を継続する。Nsfの翻訳後修飾の解析を先行したが、今回の実験からニトロシル化の可能性は低く、次いでリン酸化の可能性について検討してく予定である。 中期、長期目標として、有意差のあった残り60スポットについても治療標的となりうるタンパク質スポットのため引き続き同定を継続していくとともに、機能解析をすすめ、前庭代償の分子メカニズムを明らかすることで、めまいの治療薬の創薬や、前庭代償過程を進めることのできる技術の開発につながることを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度もタンパク質レベルでの発現を見るための実験消耗品に使用した。次年度も引き続き、翻訳後修飾の解析、プロテオミクス消耗品を中心に使用予定である。当研究にあたり二次元電気泳動画像解析システム(PDQuest)、タンパク質同定システム(Mascot)、塩基配列情報解析システム(DNASIS Pro)などのソフトウェアは当研究施設に既に用意されている。しかしながら、プロテオミクス解析消耗品(SYPRO ruby染色等)が非常に高額であり、消耗品を中心に試薬(Tris、DTTなど)20万円、プロテオミクス消耗品50万円、モノクローナル抗体50万円などを使用計画として予定している。
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