2011 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるケモカインレセプターと癌幹細胞マーカー
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23791946
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
宇和 伸浩 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90412048)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 癌幹細胞 / ケモカインレセプター / 免疫染色 |
Research Abstract |
平成23年度はこれまでに当院で診断、治療を行った頭頸部癌症例のうちまずはどの疾患を中心に研究を推進するかを検討した。その結果、まずは頸部郭清の必要性など各施設間で治療方針の意見が異なる上咽頭癌、早期舌癌(T1N0、T2N0)、頭頸部癌の中で最も予後不良である下咽頭癌を中心に検討を行うこととし、対象症例の臨床データの収集を行った。次に各疾患毎にまずはランダムに症例を15例-20例抽出し、免疫染色(一次抗体としては、癌幹細胞マーカー:抗CD44 standard form抗体と抗NANOG抗体、ケモカインレセプターマーカー:抗CXCR3抗体と抗CXCR4抗体を用いた)を行った。その結果、特に上咽頭癌でCD44、CXCR3の発現が症例毎に異なり、腫瘍の転移能、治療抵抗性、予後と関連する可能性があることが指摘された。具体的には上咽頭癌18例中8例が予後不良群であったが、このうちCD44、CXCR3が各々6例(75%)ずつ高発現していた。本研究で、1 どのマーカーが頭頸部癌の癌幹細胞、ケモカインレセプターのマーカーとして有用であるか、2 癌幹細胞と放射線、化学療法の治療効果の関連、3 腫瘍の転移能との関連を明らかにすれば、治療前に転移能が高いことや、治療抵抗性を示すことが予測される腫瘍に対しては現状のプロトコールを変更した治療を行ったり、追加治療を行っていくことで治療成績の向上を計ることができる。又、効率的で副作用の少ない機能温存を目指した新しい治療戦略を立てることも可能になり、さらに新しい分子標的薬剤の開発につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一次抗体によっては腫瘍細胞が全く陽性とならない抗体(抗NANOG抗体、抗CXCR4)もあり、熱処理など実験条件によるものの可能性も否定できなかったため、確認、検討を要したことが一因であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後更に症例数を増やし、臨床所見(転移の有無、治療への抵抗性など)との比較検討を行い、どのマーカーが頭頸部癌の診断、治療に有用であるかを統計学的な解析も含めて検討していく予定である。さらに平成23年度は行えなかった癌幹細胞のマーカーのBMI-1、ALDH-1、CD133、Gli-1に対する抗体を用いても研究を行い、CD44に関してもstandard formに対する抗体だけでなく、varinat isoformに対する抗体も用いて検討を行い、更に検討を進め、学会報告、成果が上げられれば論文発表を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用は免疫染色の一次抗体、二次抗体の購入費が中心となる予定である。
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