2012 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌におけるケモカインレセプターと癌幹細胞マーカー
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23791946
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
宇和 伸浩 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90412048)
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Keywords | 頭頸部癌 / 癌幹細胞 / 免疫染色 / ケモカインレセプター |
Research Abstract |
平成24年度は平成23年度に実験を行った頭頸部癌症例のうち、特に症例毎に発現が異なり、腫瘍の転移能、治療抵抗性、予後との関連性があることが示唆された上咽頭癌に検討対象を絞り、更にCD44のvaraint isoform抗体も用いて、どのvariant isoformが治療成績と関与するかを検討した。前年度より症例数を増やし一次治療前の生検標本を検討することができた42症例を対象とした。CD44のstandard formに対する抗体、CD44v3抗体、v6抗体の発現と上咽頭癌症例の予後に有意差を見いだせた。CD44のstandard formに対する抗体では放射線化学療法の治療効果と差は見られなかったが、CD44v3抗体、v6抗体の発現と放射線化学療法の治療効果に有意差を認めた。又、CXCR3の発現と上咽頭癌の予後との関連についても症例数を増やし合わせて検討を行い有意差を認めた。上咽頭癌は解剖学的な理由から一般的には手術が適応とならず、治療は放射線化学療法が主体となる。現状では放射線化学療法の効果は腫瘍によって異なり十分とは言えず、また放射線化学療法後の後遺症は決して楽なものではない。どのマーカーが上咽頭癌の治療抵抗性、転移能を規定し、予後予測因子となるかを明らかにすれば個々に合わせてレジメンを変更した放射線化学療法を行ったり、追加治療の有無を検討したりすることができるようになる。効率的で副作用、後遺症をできる限り少なくした治療戦略が立てられるようになると考えている。また、新しい分子標的薬の開発につながる可能性もある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
結果がでてから学会、論文発表を行える状態にするための検討、分析に時間がかかった。またCD44の抗体によっては全く陽性とならない場合もあり、実験条件によるものの可能性が否定できず、何度か条件を変えて実験を行い、確認を要した。 補助事業期間の延長の承認をいただいた。(学振助一第437号、平成25年3月19日付)
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Strategy for Future Research Activity |
上咽頭癌とCD44の他のvariant isoformとの関連についても検討を重ね、どのvariant isoformが上咽頭癌の予後や治療抵抗性と関連が強いかを見出し、統計学的にも検討を重ねて国際学会へ発表、国際雑誌に投稿していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の使用は研究結果の学会発表(国際学会での発表を予定)、国際雑誌への投稿の為の英文校正費、追加実験必要時の免疫染色の一次抗体、二次抗体の購入費などを中心に行う予定である。
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Research Products
(2 results)