2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に関連した喉頭腫瘍に対する喉頭局所免疫の関与
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23791949
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 講師 (20299514)
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Keywords | 乳頭腫 / 喉頭 / 癌化 / 防御反射 / 感染防御 |
Research Abstract |
喉頭上皮および上皮下でのHuman papilloma virus(HPV)抗原抗体反応を病理組織学的および免疫学的の両側面から証明することを目的に研究を開始した。 研究対象におけるHPV陽性例は31例中6例であった。6例の内訳は、HPV DNAのHigh Risk型が3例ですべて喉頭癌(T1a : 1例、T2 : 2例)であり、Low Risk型が3例ですべて喉頭乳頭腫であった。喉頭癌からのHPV陽性率は、12例中3例の25%であった。 免疫学的検討では、HPV陽性6例はHPV陰性25例に対して各分泌液組成の濃度が高い傾向があり、特にSecretary(S)-IgAにおいて有意差を認めた。また、喉頭癌例は非喉頭癌例に対して、分泌液組成の濃度が高い傾向にあった。さらに、HPV陽性喉頭癌3例はHPV陰性喉頭癌9例に対して、各分泌液組成の濃度が高い傾向にあった。 本研究は、S-IgAが少なくともHPVの喉頭上皮内への進入や喉頭感染後の播種に対して活性化し抑制的に働いていることを示した。本研究は、喉頭局所でのHPV感染やHPV陽性癌腫の発現により粘膜免疫が活性化し、異物排除や治癒機転として強く発現していることを裏付ける根拠といえる。研究成果は論文としてJ Laryngol Otolに出版した。
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