2012 Fiscal Year Annual Research Report
プロレニンを標的とした糖尿病網膜症の新規治療薬の開発
Project/Area Number |
23791955
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
横田 陽匡 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60431417)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / プロレニン / (プロ)レニン受容体 / 網膜虚血再灌流 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究はプロレニンを標的とした糖尿病網膜症の新規治療薬の開発を目的としてきた。昨年度の実施実績報告書に報告したように、実験結果が当初の予想と反するものとなった。我々の仮説では、人為的な網膜低酸素状態でプロレニンの発現が亢進し、さらにVEGFをはじめとする増殖因子や炎症性サイトカインの発現が増加し神経網膜の障害が起きると考えていた。昨年度の研究では、人為的に網膜に低酸素状態を再現してもプロレニンに変化がみられない事と、プロレニンに変化がなくても神経節細胞死が起きる事が確認された。申請した実験計画書に記載しているように、網膜虚血再灌流モデル以外のモデル、すなわちレーザー網膜静脈閉塞症モデルを作成し、ここでも網膜内のプロレニンの発現を確認したが、やはりプロレニン、(プロ)レニン受容体の発現に変化が見られなかった。本研究からは単なる網膜組織の低酸素では、プロレニン、(プロ)レニン受容体の発現に変化がなく、やはり糖尿病による網膜組織の慢性的な高血糖がプロレニンに影響していると考えられた。昨年度にこれまでの臨床データを改めて解析して、プロレニンの発現には種々の因子の中で高血糖が最も深く関与していることを報告した(近日中に論文投稿予定)。最終年度では、糖尿病のみならず高血圧がプロレニンの発現に影響を与えていないかどうかを検討した。糖尿病網膜症の発症に対する危険因子として高血圧の合併が知られていたが、本研究ではじめて高血圧を合併している糖尿病患者では、合併していない糖尿病患者に比べてプロレニンがより強く網膜循環の悪化に関与していることを報告した(論文投稿中)。さらに本研究では、プロレニンの直接的な網膜への影響を観察するために、摘出ブタ網膜血管に異なる濃度のプロレニンを暴露し、網膜血管への影響を検討するための実験系を確立したところであり、今後も研究を継続していく予定である。
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Research Products
(2 results)