2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791957
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
十川 健司 旭川医科大学, 医学部, 医員 (50466489)
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Keywords | 網膜 / 糖尿病網膜症 / 血管内皮機能 |
Research Abstract |
我々はネコを用いたin vivoの実験系で、血管内皮依存性の血管拡張因子であるブラジキニンを眼内へ注入することにより、網膜の血管内皮機能を評価できることを報告した(IOVS 2010)。しかし、実際の臨床では、網膜血管内皮機能評価のために眼内へ薬物を注入するという侵襲的な方法で評価することはできない。最近になり、前腕の動脈を駆血させ、駆血を解除することによって得られる血流依存性血管拡張反応(FMD)を評価することにより、比較的大きな血管の内皮機能が評価できることが明らかとなっている(JACC 2002)。そこで我々は糖尿病患者のFMDを測定し、糖尿病網膜症の発症前に血管内皮機能が低下していることを明らかにした(2012 Current Eye Res)。 また、最近になり、OCT(optical coherence tomography)技術の発達によりSpectral Domain OCT(SD-OCT)を用いて脈絡膜像が鮮明に描写されることが可能になり様々な疾患で脈絡膜形態が評価されている。近年、SD-OCTを用いて糖尿病患者でも脈絡膜形態が評価されており、糖尿病網膜症患者では脈絡膜厚が菲薄化することが明らかとなった(IOVS 2012)。このことは、網膜循環障害のみならず脈絡膜循環障害が引き起こされ、糖尿病網膜症の発症および進展に関わるものと想像される。そこで我々はまず、健常人での脈絡膜厚を脈絡膜循環との関連について検討を加えた。その結果、脈絡膜血流量と脈絡膜厚には有意な相関がないことを明らかとした。今後は糖尿病網膜症と脈絡膜循環動態、脈絡膜厚について検討を加える必要がある。
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