2012 Fiscal Year Annual Research Report
アカントアメーバ角膜炎に対するナノテクノロジーを用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
23791959
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横倉 俊二 東北大学, 大学病院, 講師 (30400378)
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Keywords | アカントアメーバ / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
平成23年度は既報を元にして銀ナノ粒子の作成を行った。培養したアメーバ株trophozoiteとcystの浮遊液をそれぞれ用意し、ここに濃度をふったナノ粒子を加えて経過観察したところ、実際にナノ粒子がアメーバ内に取り込まれてることが確認された。 このため平成24年度は以下の実験を行った。 米国FDAで行われているstand alone testに準拠して、清潔なコンタクトレンズケースに培養して濃度調整したアメーバ栄養体とシスト浮遊液を用意し、市販のソフトコンタクトレンズ保存・洗浄液(MPS)8種類に、20, 40, 60, 80μg/mlとなるように銀ナノ粒子を加えたものをアメーバ浮遊液の100倍量となるように添加し、一般的なMPSの付け置き時間である2, 4, 8, 24時間後の各wellの細胞数を計測し、銀ナノ粒子の添加によって抗アメーバ作用が増強したか解析した。その結果、栄養体・シストどちらの群でも8時間以上の後に抗アメーバ作用が濃度依存性に上昇していることが確認できた。 家兎の角膜に一定量のアメーバ栄養体を接種してアカントアメーバ角膜炎の状態とした。ここにこれまでの実験で割り出された、抗アメーバ効果を十分有しかつ角膜上皮毒性が少ない銀ナノ粒子点眼を1時間ごとに点眼し、14日間連日、細隙灯顕微鏡による角膜所見の変化・生体共焦点顕微鏡であるHRT-II角膜モデュールによる角膜内アメーバ数の変化・涙液のreal-time PCRによるアメーバコピー数の変化を観察し、銀ナノ粒子点眼によってアメーバ角膜炎が改善するか解析した。この結果日数の経過を共に、角膜内アメーバ数が減少していくことが確認できた。 このように銀ナノ粒子点眼がMPSの抗アメーバ能を上げる他、直接点眼としても有効な抗アメーバ能を有していることが確認できた。
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