2012 Fiscal Year Research-status Report
眼内血管新生に対するVEGF-A165bの抑制効果
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23791966
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
馬場 隆之 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (00361725)
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Keywords | 脈絡膜新生血管 / 加齢黄斑変性 / 血管内皮増殖因子 / VEGF-165b / 網膜血管新生 / 増殖糖尿病網膜症 |
Research Abstract |
現在、先進国における高齢者の失明原因として重要な加齢黄斑変性(AMD)症例において、眼内液における血管新生抑制的isoformであるVEGF-A165bの濃度を測定し、正常と比較を行い、AMDにおけるVEGF-A165bの意義について検討した。さらに、眼内血管新生をきたす重要な疾患である増殖糖尿病網膜症(PDR)および網膜静脈閉塞症(RVO)でも検討した。 抗VEGF抗体の硝子体注射の際に、前房水を30ゲージ針と1ccシリンジを用いて約0.1ml採取し、冷凍保存したものを使用した。ELISAは、抗VEGF-A165b抗体を用いて、サンドイッチ法にて行った。比較対照群として、明らかな眼血管病変を持たない白内障症例を用いた。 前房水中のVEGF-A165b濃度は、AMD症例(n=77) <15-98(中央値16.4)pg/ml、RVO症例(n=35)<15-47(中央値<15)pg/ml、PDR症例(n=15)<15-29(中央値<15)pg/ml、白内障症例(n=17) <15-46(中央値20.6)pg/ml、であった。コントロールとAMD症例には差はなく(P=0.63、 Mann-Whitney検定)、RVO(P=0.06)およびPDR(P=0.18)はコントロールより低い傾向にあった。この結果から、PDRやRVOでは、血管新生に抑制的に働くVEGFファミリーの一つであるVEGF165bは低値であり、AMDでは正常と同レベルに保たれていることが分かった。理由としては、AMDではVEGFのバランスがRVOやPDRほどは血管新生促進的に傾いていないことが考えられる。しかし、AMDでは病変が網膜下であり前房からは距離があり、PDRやRVOに比べるとサイトカインの変化が前房に反映しにくい可能性があることも考慮に入れる必要があるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト前房水サンプルの採取と分析は順調に進んでいるが、実験動物を用いた脈絡膜新生血管モデルの作成が、いまだ計画段階からは遅れている。環境整備(手術用顕微鏡や網膜下注射器具)が整ってきたので、今後は実験的脈絡膜新生血管を使って研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
前房水での分析では、網膜血管病変(糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症)に比べて、加齢黄斑変性では眼内のVEGF165b濃度は低めであり、コントロール(白内障)とほぼ同等であった。前房水は採取できるサンプルが少なく、複数回の分析を同一検体を用いて行うことが困難であるため、今後は硝子体手術の際に採取される硝子体液も分析を行い、網膜血管病変と非網膜血管病変の間で眼内VEGF165b濃度に差が見られるか検討する。すでに硝子体サンプルは合計で100症例以上は集まっており、分析を順次行う予定である。 動物実験についても、技術的な問題をクリアし、モデル動物作成可能となったため、今後はリコンビナントのVEGF165bを用いて、実験的脈絡膜新生血管の抑制を検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物の購入、抗体等の反応試薬の購入、実験成果の発表などに使用する予定。 実験動物の脈絡膜新生血管組織を用いた免疫染色などの実験のための試薬・抗体などは昨年度は使用しなかったため、今年度で使用する。
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Research Products
(5 results)