2011 Fiscal Year Research-status Report
インフリキシマブ治療によるベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者のT細胞抑制機序の解析
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23791971
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川口 龍史 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (90376707)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 眼免疫学 / ぶどう膜炎 / ベーチェット病 / T細胞 |
Research Abstract |
活動性ベーチェット病 (BD) ぶどう膜炎ではCD4陽性T細胞、特にTヘルパー1 (Th1) 細胞やTh17細胞がその病態に重要な役割を担っていると考えられているが、近年Th22細胞の存在が報告され、BDの病態に関与している可能性がある。そこで、活動性BDぶどう膜炎患者の眼局所よりCD4陽性T細胞クローンを限界希釈法にて樹立し、各種のサイトカインをELISAおよびFlow cytometryで測定した測定したところ、IL-22やTNF-αの産生がみられた。すなわち、活動性BDぶどう膜炎眼局所由来のCD4陽性T細胞にはTh22細胞が含まれていることが判明した。次に、BD末梢血のCD4陽性T細胞からTNF-α、IL-6ヒトリコンビナント蛋白を用いてTh22細胞株を誘導した。このin vitroで誘導した末梢血由来BD Th22タイプT細胞株はIL-22やTNF-αの産生が高値であった。また、このBD Th22細胞に抗TNF-α抗体インフリキシマブを添加してそのTh22サイトカイン産生に変化があるか検討したところ、IL-22やTNF-αの産生能が有意に低下した。また、BD Th22 T細胞はanti-TNF-αやanti-IL-6の中和抗体処理にてIL-22産生がブロックされた。これらの実験結果から、BDぶどう膜炎の眼内炎症の病態にTh22細胞が関与している可能性が示唆された。BDぶどう膜炎にインフリキシマブが効果的な理由の一つにTh22細胞抑制があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、ベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者の末梢血からCD4陽性T細胞を分離し、活性化T細胞を樹立すること、それと同時にベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者の眼局所からCD4陽性T細胞クローンを樹立することができた。これらのT細胞について、産生する各種サイトカインを測定することができた。また、活性化T細胞にインフリキシマブを作用させ、産生するサイトカインの変化についても一部測定することができている。以上から、当初の研究目的について、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者の末梢血から誘導したTh22細胞については、様々な実験結果が出てきている。今後はTh1、Th17の細胞集団について同様の実験を行い、インフリキシマブ治療におけるベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者での眼局所、および末梢血由来の活性化T細胞の抑制作用機序解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の実験を遂行するために、T細胞の分離培養を行う必要があり、牛胎児血清を含む細胞培養液、細胞分離に使用するMACS systemに用いる分離ビーズが必要である。フローサイトメトリーを用いた解析には特異抗体、蛍光抗体が必要である。サイトカイン測定には、ELISAキットやCBA法を用いる。抗TNF-α抗体は、製品化されたインフリキシマブを用いる。
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