2012 Fiscal Year Annual Research Report
インフリキシマブ治療によるベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者のT細胞抑制機序の解析
Project/Area Number |
23791971
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川口 龍史 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (90376707)
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Keywords | 眼免疫学 / ぶどう膜炎 / ベーチェット病 / T細胞 |
Research Abstract |
活動性ベーチェット病 (BD) ぶどう膜炎ではCD4陽性T細胞、特にTh1 細胞やTh17細胞がその病態に重要な役割を担っていると考えられているが、近年Th22細胞の存在が報告され、BDの病態に関与している可能性がある。 我々は、活動性BDぶどう膜炎患者の眼局所よりCD4陽性T細胞クローンを限界希釈法にて樹立し、各種のサイトカインをELISAおよびFlow cytometryで測定したところ、IL-22やTNF-αの産生がみられた。すなわち、活動性BDぶどう膜炎眼局所由来のCD4陽性T細胞にはTh22細胞が含まれていることが解明された。次に、BD末梢血のCD4陽性T細胞からTNF-α、IL-6ヒトリコンビナント蛋白を用いてTh22細胞株を誘導した。このin vitroで誘導した末梢血由来BD Th22タイプT細胞株は、IL-22、TNF-αの産生が高値であった。また、このBD Th22細胞に抗TNF-α抗体であるインフリキシマブを添加してそのTh22サイトカイン産生に変化があるか検討したところ、IL-22の産生能が有意に低下した。また、BD Th22 T細胞はanti-TNF-αやanti-IL-6の中和抗体処理にてIL-22産生がブロックされた。 一方、BDの動物モデルであるマウス実験ぶどう膜炎(EAU)において、眼局所のCD4陽性T細胞を解析したところTh22細胞が有意に存在し、このTh22細胞は網膜抗原であるIRBPの存在下でIL-22を産生した。EAU導入の際にanti-TNF-αとanti-IL-22を投与すると、ぶどう膜炎の発症が有意に抑制された。 これらの実験結果から、BDぶどう膜炎の眼内炎症の病態にTh22細胞が関与している可能性が示唆された。BDぶどう膜炎にインフリキシマブが効果的な理由の一つにTh22細胞抑制があると考えられる。
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Research Products
(2 results)