2012 Fiscal Year Annual Research Report
補償光学適応走査型レーザー検眼鏡を用いた虚血性黄斑症の病態解析
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23791980
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇治 彰人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60534302)
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Keywords | 補償光学 / 糖尿病網膜症 / 虚血 |
Research Abstract |
平成24年度には健常者および糖尿病網膜症患者におけるAO-SLOデータの収集、解析を行った。撮影した人数は健常者が24人、糖尿病患者が100眼であった。糖尿病患者のうちも糖尿病網膜症を認めたのは59人で、その内訳はmild NPDRが22人、moderate NPDRが25人、severe NPDRが3人、PDRが9人であった。目標人数は糖尿病網膜症のあり・なし各群30名ずつ計60名120眼の撮影であったが、データ収集はおおむね予定通り行えたと考えられる。糖尿病網膜症を有する患者のうち解析に使用できる画質を得られたのはわずか10人(16.9%)であった。画像取得の成功率が低かった理由として、黄斑浮腫、白内障の併発、固視不良などが挙げられ、ハードの更なる改良が必要と考えられた。健常者と比較して、血流速度は糖尿病網膜症眼で有意に速くなっていた。一方で6眼(60%)の患者で急激に血流速度が遅く変化する血管を認め、虚血性変化の前段階と疑わせる所見と考えられた。これら画像解析は、血流速度の計測および毛細血管網の自動抽出に加えて、心拍動との同期、血管像の自動パノラマ作成など血流解析ソフトウェアのバージョンアップを経て可能となり、得られた結果である。研究計画の全体的な遅れに伴いAO-SLOデータの全身的なパラメータとの相関に関する検討や動物モデルを用いたNADPHオキシダーゼ阻害剤の網膜虚血に対する影響の検討は期間内に行うことができなかった。
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