2012 Fiscal Year Research-status Report
フェムトセカンドレーザーを用いた無縫合角膜移植の開発
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23791982
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相馬 剛至 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70582401)
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Keywords | 角膜移植 / フェムトセカンドレーザー |
Research Abstract |
本年度は、ヒト臨床で行われている角膜切開様式(ジグザグ型、トップハット型、マッシュルーム型)について家兎角膜において同様の切開を行うことができるかを検討した。結果、いずれの切開方法についても可能であることを確認した。 次に、フェムトセカンドレーザーを用いて家兎角膜を切開した場合の炎症反応について組織学的な検討を行った。本レーザーを用いた角膜移植では、免疫反応を可能な限り抑制するために、レーザーによる角膜切開で惹起される炎症は最小限であるのが望ましいと考える。我々は、ヒト臨床と同条件でフェムトセカンドレーザーによって切開した家兎角膜において組織学的に炎症の有無を検討した。検討には、HE染色ならびに、CD4、CD8、CD11bの発現を免疫染色を用いた。結果、切開部位において、明らかな細胞浸潤を認めず、またCD4、CD8、CD11bの発現を認めなかった。つまり、ヒト臨床と同条件で家兎角膜を切開した場合に、炎症反応が生じないことが確認できた。 続いて、透明家兎角膜においてはヒト臨床と同程度のエネルギーならびに照射間隔において角膜切開が可能であるが、一方、角膜移植では、角膜内皮が傷害された水疱性角膜症角膜に対し、レーザーを照射する必要がある。そこで水疱性角膜症モデルにおいて安定した角膜切開を行える条件について検討した。結果、水疱性角膜症眼において、透明角膜切開時と同様の切開効率を維持するためのエネルギーおよび照射間隔の最適な条件を見出した。 加えて、本年度はフェムトセカンドレーザーIntraLaceFSにおけるスクリュー型角膜切開のプログラム構築について、共同研究者であるAMO社と継続して進めた。スクリュー型切開におけるネジ山の高さ、フランク角度などについて、条件検討を進めた。その一方で市販品である本レーザーに対し、基幹システムへの新規プログラムの組み込前年度から継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、フェムトセカンドレーザーIntraLaceFSにおけるスクリュー型角膜切開のプログラム構築と同時並行で、ヒト臨床で行われているジグザグ型、トップハット型、マッシュルーム型といった種々の角膜切開方法について、家兎角膜においてもフェムトセカンドレーザーを用いて施行可能であることが確認できた。23年~24年度の研究計画に沿った内容であり、予定通りに研究が進展していることを示している。加えて、本年度はフェムトセカンドレーザーを用いて角膜移植を行った場合の炎症反応について組織学的な検討を行い、レーザーによる角膜切開では惹起される炎症は最小限であることを確認した。これはフェムトセカンドレーザーを用いた角膜移植を安定して施行するにあたり、非常に重要な知見であり、本研究の遂行に大きく役立つ。加えて、角膜内皮が傷害された水疱性角膜症における、フェムトセカンドレーザーの照射条件検討についても最適化することができた。これにより、安定しホストならびにドナー角膜の切開、移植が可能となり、安定した移植成績が得られると考える。 加えて、本年度はフェムトセカンドレーザーIntraLaceFSにおけるスクリュー型角膜切開のプログラム構築については、継続してAMO社と協力して進めており、スクリュー型切開におけるネジ山の高さ、フランク角度などの条件について、プロトタイプのプログラムの構築ができたことから、計画はおおむね順調に進展していると考える。本プログラムを市販品である本レーザーの基幹システムへの組み込みを継続して進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリュー型角膜切開プログラムの構築を完成させ、フェムトセカンドレーザーへの組み込みを行う。続いて、まず家兎においてドナーおよびホスト角膜の両者で角膜切開を施し、最適な条件を決定する。移植にあたってはまず正常家兎角膜に移植し、短期的に角膜接合部からの漏出がないか、離開しないかについて検討する。その後、本年度に作製した水疱性角膜症モデルに本切開方法を用いて角膜移植を行い、角膜形状解析、角膜厚測定を行う。角膜形状解析についてはTMS-4により、術後における不正乱視を測定し移植角膜片の組織適合を検討する。角膜厚についは、SP-100を使用する。加えて、移植角膜の組織学的検討を行う。具体的にはHE染色および免疫組織化学にて創傷治癒や白血球、マクロファージ、リンパ球など免疫細胞の浸潤について検討する。また、走査型および透過型電子顕微鏡にて観察し、ドナーおよびホスト移植の接着構造について検討する。加えて、移植角膜の組織学的検討を行う。さらに、術後早期と移植後の長期間観察後の検討結果を踏まえて、フェムトセカンドレーザーによる角膜切開法についての条件を最終的に確立する。 また、昨年度に確認したフェムトセカンドレーザーを用いた種々の角膜移植(トップハット型、マッシュルーム型、ジグザグ型)を行い、我々のスクリュー型切開法との組織学的な比較を行う。さらに、研究用アイバンク眼を用いてヒト角膜における有効性を検討する。 これらの動物実験およびヒト角膜における検討にて有効性が確立された後、倫理委員会へ申請し臨床試験の準備を行う。本方法で用いるフェムトセカンドレーザーはすでに臨床で用いられており、倫理委員会への申請、承認のプロセスは円滑に進行すると考える。大阪大学医学部における承認を得た後に臨床試験を行い、水疱性角膜症患者への安全性、有効性を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、引き続きフェムトセカンドレーザーによるスクリュー型切開を用いた角膜移植を、正常家兎ならびに水疱性角膜症モデル家兎に行う予定であり、実験用家兎(10匹)の購入費として8万円を計上する。加えて、昨年度と同様に水疱性角膜症モデルの作製並びに角膜移植に用いるメスや注射針、シリンジ等の手術器具、また眼内潅流液、眼科手術用粘弾性物質、副腎皮質ステロイド薬、抗生剤等の薬剤費として7万円を計上する予定である。組織学的検討に必要な試薬の購入に20万円を計上する。家兎に対する実験に加えて、ヒト角膜を用いた組織学的検討を行うため、研究用アイバンク眼(5眼、25万円)の購入を予定している。次年度は国内、国外学会での発表を予定しており、学会発表費として35万円を計上する。加えて、論文作成の準備および発表費として20万円を計上する。なお、フェムトセカンドレーザーは共同研究を行うAMO社のものを使用するため使用料は不要である。
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