2011 Fiscal Year Research-status Report
免疫制御因子を標的とした加齢黄斑変性に対する分子治療法の戦略的開発
Project/Area Number |
23791984
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
池田 欣史 鳥取大学, 医学部, 助教 (10444639)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 加齢黄斑変性症 |
Research Abstract |
ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)患者および正常対照者より前房水を採取し、プロテインアレーの手法にて炎症サイトカイン群のプロファイリングを行った。その結果、PCV患者においては、IL-4, IL-10, IL-23の有意な増大を認めた。さらに、このプロファイリングをもとにLogistic多変量解析の手法にて各因子のPCVへの寄与を評価した。その結果、PCVに対してIL-23の上昇がもっとも高いオッズ比を示した(最大四分位点に対してのオッズ比16.3; 95% 信頼区間: 3.5-75.2)。IL-23に続き、VEGF, IL-4の増大が有意なリスクとなり、それぞれのオッズ比はVEGF:5.7; 95% 信頼区間1.2-26.1), IL-4 (4.0; 95% 信頼区間1.3-12.7)となった。前房水中のVEGFレベルは、IL-10とIL-4と有意な相関を認め(IL-10: 相関係数ρ=0.477, IL-4: 相関係数ρ=0.281)、これらのサイトカインはVEGF関連性血管新生機序への関与が示唆された。蛍光眼底造影法で評価したPCVの病態の活動性は、IL-5, IL-10, IL-4, IL-23, IL-1αの増大が有意な関連性を示した。以上の結果より、前房水におけるIL-23の増大とPCV,さらには活動性との有意かつ強い相関が示され、PCVの病態においてTh17関連性サイトカインを含む経路が関連していることが判明した。以上の知見より抗VEGF療法以外の治療ストラテジーの標的分子群を解明することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリープ状脈絡膜血管症における炎症性サイトカインの解析結果は以下の論文として受理された。Sasaki S, Miyazaki D, Miyake K, Terasaka Y, Kaneda S, Ikeda Y, Funakoshi T,Baba T, Yamasaki A, Inoue Y. Associations of IL-23 with Polypoidal Choroidal Vasculopathy. Invest Ophthalmol Vis Sci 2012 in press
|
Strategy for Future Research Activity |
IL-23を含め、上記により検出、同定された候補免疫制御因子がいかに血管新生をもたらすかを、レーザー誘導性脈絡膜新生血管マウスモデルを用いて検証していく。具体的には、IL-23に関しては、IL-23およびIL-23レセプターの阻害を特異抗体投与により検証する。さらに 硝子体内へIL-23を注射しその寄与を検討する。一方、IL-4は、代表的なTh2型炎症の経路であり、そのシグナル経路は、古典的なIL-4レセプターを介する経路にくわえIL-13レセプターやcommon γCのインプットが統合されている。そこでこれらの寄与を詳細に関与するため各レセプターサブユニットの欠損マウスを用いて検証し、同様にIL-4, IL-13の硝子体注射により確認する。さらにこれらのレセプターがレーザー誘導性脈絡膜新生血管マウスモデルにおいて実際に誘導されるかを免疫染色の手法で検討を行う。これらのサイトカイン群の血管内皮への寄与を仮定し、マウスより作成した血管内皮細胞に対してこれらのサイトカインの寄与を、それぞれ前述の遺伝子欠損マウスより作成した血管内皮細胞を用いて検証する。以上により、標的サイトカイン群が、実際に臨床的に標的として使用可能かを、前臨床試験を念頭に詳細に検討していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画の進展に伴い、研究費として計画書どおりの使用を予定している。また、次年度使用額の342円だが、必要物品を購入するにあたり、使い切るより繰り越した方が、有効に使えるため
|
Research Products
(1 results)