2011 Fiscal Year Research-status Report
角膜内皮は抗原提示細胞として免疫応答を制御するか?
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23791985
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小松 直樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (50599925)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 角膜内皮 |
Research Abstract |
ヒト培養角膜内皮細胞がメモリーT細胞に対して抗原提示をする解析系を確立した。モデル抗原として単純ヘルペスウイルスを用いて内皮細胞を刺激した場合、角膜内皮細胞は、抗原提示機能にかかわる多くの分子群を発現する。抗原提示にかかわる分子群を用いてネットワーク解析を行った場合、抗原提示ネットワークは、NF-κBをシグナル経路の主体にしめる分子群で構成されていることが判明した。角膜内皮は 前房関連性免疫偏位(ACAID)の重要なコンポーネントとして知られている。興味深いことに、作出された角膜内皮のプライマリーネットワークには、ACAIDへの関与が想定される免疫制御因子群が認められた。とくに免疫制御性酵素であるIndoleamine 2,3-dioxygenase 1 (IDO1)の強い関与を認めた。IDO1が、実際に抗原提示機能にかかわるかどうかを検討するため、IDO1の機能阻害、発現阻害および過剰発現を行い、角膜内皮におけるIDO1の機能を検証した。その結果、角膜内皮がアロメモリーT細胞に抗原提示を行う場合、IDO1誘導を介してメモリーCD4+細胞を制御性CD4+細胞に変化させることが判明した。 以上より、角膜内皮が抗原提示をメモリーCD4+細胞に対して行う場合、制御性CD4+細胞への分化刺激を介して、抗原特異的な免疫寛容を誘導する機能をもつことが判明した。この機能は、角膜感染症や前眼部炎症を制御するストラテジーを確立する上で重要な知見となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IDOに関連する論文は下記のタイトルとして投稿を予定している。サイトメガロウイルスの関与に関する研究は新たな倫理審査承認を取得した。Immune Privileged Role of Indoleamine 2,3-dioxygenase 1 in Corneal Endothelial Cells Exploited by Herpes Simplex Virus Type 1 Tomoko Haruki, Dai Miyazaki, Koudai Inata, Shin-ichi Sasaki, Yukimi Yamamoto, Michiko Kandori, Keiko Yakura, Chizu Touge, Naoki Komatsu, Ryoko Ishikura, Hirokazu Touge, Satoru Yamagami, Yoshitsugu Inoue.
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスモデル抗原には主としてHSVを用いてきたが、サイトメガロウイルスも角膜内皮炎を含めた前眼部炎症の関連病原体として重要である。CMVに関しては、実際角膜内皮に感染できるかどうかさえ判明していないため、感染性の有無の検討、感染しうるなら角膜内皮のCMV反応性包括的トランスクリプトームの取得を行う。つぎにCMV感染と角膜内皮炎の病態がいかなる関連をしめすかを、角膜内皮炎の患者より分離したメモリーリンパ球を用いて角膜内皮との相互作用を検証していく。このため、新たな倫理審査承認を取得した。MHC拘束性の抗原提示機能をより詳細に評価するためにはマウスモデルを使用する。T細胞レセプタートランスジェニックマウスとして、卵白アルブミン(OVA)特異的TCRトランスジェニックマウス(OT2)を使用する。OT2より、角膜内皮を分離し、OVA特異的TCRに対して抗原提示をする系を確立する。アッセイ系には、角膜内皮をcellとして分離し、OVAあるいは、OVAペプチドをモデル抗原として用い、角膜内皮を抗原提示細胞として使用する。分離したマウスT細胞との混合リンパ球刺激試験により抗原提示機能を評価する。また、これにより確立されるT細胞を養子移入によりマウスにもどし、その作用を評価する。CD4+,CD8+ T細胞それぞれに対する抗原提示機能の評価には、抗原注射後の遅延型過敏反応の測定、移入マウスより分離した細胞障害性Tリンパ球活性測定、さらに抗原特異的サイトカイン分泌量を用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の発展に伴い、次年度には試薬購入費用の増加が想定される。このため、本年度分にPC購入費用として計上していた費用を次年度へ繰り越した。
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