2011 Fiscal Year Research-status Report
siRNAによる緑内障モデルラットにおける視神経節保護効果の検討
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23791992
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
石川 慎一郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (00404129)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 緑内障 / 神経保護 / アポトーシス |
Research Abstract |
緑内障は網膜師神経節細胞アポトーシスにより、視野障害を来たし失明にいたる疾患であり、本邦の中途失明の原因として最多である。緑内障の発症機転である視神経節細胞のアポトーシスにおいては、Bcl-2経路を経てアポトーシスが成立することが知られている。このことからcaspaseの活性阻害により、アポトーシスの抑制が可能と考えられる。一方でcaspaseの抑制は生理的なアポトーシスの抑制も、同時に発生することが考えられることから、全身的なアポトーシス抑制は、現実的ではなく局所での抑制が必要とされる。siRNAはターゲット遺伝子を抑制する有力な方法として、近年注目されている。申請者は網膜虚血再潅流により視神経節細胞障害を引き起こして、緑内障モデルラットに対して、caspase-3, caspase-9 をターゲットとするsiRNAを硝子体腔内に導入する実験を行い、siRNAの視神経節細胞層への到達と、眼圧上昇による視神経節細胞の減少を抑制する結果を得た。Bcl-2経路における、視神経節細胞のアポトーシスにおいては、caspase-9 の活性化によって引き起こされる経路と、Diabloの活性化によって引き起こされる経路の2種類の経路があるが、どちらの経路がより緑内障の原因として明らかになっていない。平成23年度の研究により、caspase-3、caspase-9を硝子体腔内に導入することにより、虚血再灌流モデルにおいて、視神経節細胞の障害抑制効果の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウィスーターラット 6週令のオス(以下ラット)の眼圧をトノラボ接触眼圧測定機を使用して測定し、12週間観察して、ベースライン眼圧を求める。逆向性染色として、上丘にフルオロゴールドを導入して、3日後に4%パラホルムアルデヒド100mlを全身に循環させることにより、網膜の固定を行った後に眼球摘出を行う。摘出眼球から、網膜伸展標本を作成して蛍光顕微鏡にて網膜視神経節細胞数を計測することにより、正常コントロール群とした。ラットの前房内に、30Gの針を用いて加圧を行い、虚血再灌流モデルを作成し、眼圧の安定性を確認した。各時点で虚血再灌流3日前に、上丘より逆向性の染色を行い、還流固定を実施して、網膜伸展標本を作成して視神経節細胞数の評価を行い、虚血再灌流による視神経節細胞の減少についての経時的な評価を行った。前述で作成した慢性高眼圧モデルラットの眼球を、4週間ごとに回収し、Hematoxilin-Eosin 染色およびTUNEL染色にて染色を行い、形態的評価とアポトーシスの評価を行った。mRNAに対して阻害作用を有しないnon silencing siRNA (20μg/20μl)、RNA ifect(10μl)、Buffer EC(10μl)を混合し、ラットの硝子体腔内に注入する。導入後1,2週での視神経節細胞数を、視神経付近から4カ所、視神経と赤道部の中心部から4カ所、赤道部付近から4カ所で計測し、蛍光顕微鏡をもちいて検討を行った。caspase-3 または caspase-9の siRNA (20μg/20μl)、RNA ifect(10μl)、Buffer EC(10μl)を混合し、ラットの硝子体腔内に注入する。導入後1,2週間の時点で、蛍光顕微鏡下で1mm×1mmの範囲で蛍光標識されている視神経節細胞数の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、虚血再灌流3日前に、上丘より逆向性の染色を行い、還流固定を実施して、網膜伸展標本を作成して視神経節細胞数の評価を行い、虚血再灌流による視神経節細胞の減少についての経時的な評価を行った。前述で作成した慢性高眼圧モデルラットの眼球を、4週間ごとに回収し、Hematoxilin-Eosin 染色およびTUNEL染色にて染色を行い、形態的評価とアポトーシスの評価を行うことと、mRNAに対して阻害作用を有しないnon silencing siRNA (20μg/20μl)、RNA ifect(10μl)、Buffer EC(10μl)を混合し、ラットの硝子体腔内に注入する。導入後1,2週での視神経節細胞数を、視神経付近から4カ所、視神経と赤道部の中心部から4カ所、赤道部付近から4カ所で計測し、、蛍光顕微鏡をもちいて検討、caspase-3 または caspase-9の siRNA (20μg/20μl)、RNA ifect(10μl)、Buffer EC(10μl)を混合し、ラットの硝子体腔内に注入する。導入後1,2週間の時点で、蛍光顕微鏡下で1mm×1mmの範囲で蛍光標識されている視神経節細胞数の検討が完了しており、形態的な視神経節細胞の保護効果が確認された。今後は、diabloに対するeiRNA導入による、視神経節細胞の虚血再灌流後の変化を観察するとともに、caspase-3, caspase-9のqtRT-PCR法やWestern-blot法を用いた、分子生物学的な観点から神経保護効果の機序の解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウィスーターラット 6週令のオス(以下ラット)の硝子体腔内にdiabloに対するsiRNAの導入を行い、虚血再灌流を行った後に、3日後に4%パラホルムアルデヒド100mlを全身に循環させることにより、網膜の固定を行った後に眼球摘出を行う。摘出眼球から、網膜伸展標本を作成して蛍光顕微鏡にて網膜視神経節細胞数を計測することにより、diabloに対するsiRNA阻害による、網膜視神経節細胞の状態の評価を行う。評価方法として、ラットの硝子体腔内に注入する。導入後1,2週での視神経節細胞数を、視神経付近から4カ所、視神経と赤道部の中心部から4カ所、赤道部付近から4カ所で計測し、蛍光顕微鏡をもちいて計測をおこなう。準備実験によって用いた、プライマーが単一であったことから、プライマーの親和性について複数のプライマーを用いて検討をおこない、まずはcaspase-3に対するsiRNAを用いた実験モデルの確立を行う予定である。同様にWestern-blot法においてもcaspase-3に対するsiRNAを用いた実験モデルの確立を目指す。caspase-3に対するsiRNAに対する、実験系を確立したのちに、caspase-3の siRNA (20μg/20μl)、RNA ifect(10μl)、Buffer EC(10μl)を混合し、ラットの硝子体腔内に注入する。導入後1,2週間の時点で、qtRT-PCRを実施する予定である。同時にcaspase-9に対するライマーの親和性について複数のプライマーを用いて検討をおこない、caspase-9に対するsiRNAを用いた実験モデルの確立を平成24年度中に完了することを目指す。
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Research Products
(1 results)