2011 Fiscal Year Research-status Report
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23791995
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 高明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70404514)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 硝子体内注射 / 薬物障害 / 網膜 / 視神経 |
Research Abstract |
ラットの眼内にTNFα、トロンビンを注入し、網膜、脈絡膜アポトーシス型障害と非アポトーシス型障害のいずれが優位かについて、Clarkeの分類での1型から3型について調べた。マウスを麻酔後、トロピカミド点眼液で散瞳し、片眼にTNFα(500ng/眼)を30G針で網膜下注射を行った。もう片眼にはコントロールとしてPBSの注射を行った。トロンビンは、1・10U/眼の濃度で網膜下注射を行った。TNF注射群では、網膜・網膜色素上皮・脈絡膜の菲薄化を認めた。Tunel染色の結果では、TUNEL陽性細胞を多く認め、アポトーシス型の細胞障害を生じていることが示唆された。網膜色素上皮が菲薄化し不連続となっており、TNFαによって網膜色素上皮のバリア機能障害を示唆する所見と思われた。トロンビンにおいても網膜・網膜色素上皮・脈絡膜の菲薄化を認めた。TUNEL染色の結果からは、濃度依存的にアポトーシスを生じていた。低濃度では色素上皮の増殖性変化を認め、トロンビンが細胞増殖にも影響している可能性が示唆された。過去の報告では、TNFαがアポトーシス誘発の他、網膜色素上皮のバリア機能を低下させることが報告されている。今回の実験では、TNFα(500ng/眼)では、網膜・脈絡膜障害を強く認め、アポトーシス型の細胞障害が有意であった。トロンビンは、血液凝固系の重要な酵素であるが、その他にも細胞に様々な影響(増殖・遊走反応など)を与えることが報告されている。今回の濃度では、そのような影響よりは、アポトーシス型の細胞障害が有意であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目的であるラットにおける眼内薬物投与の影響について調査を行った。TNFα、トロンビンの効果による網膜、脈絡膜、血管新生への影響がラットをもちいた実験により判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
網膜色素上皮極性細胞を培養するシステムを構築したので、それを用いて硝子体内投与薬物が網膜色素上皮を通過するかどうか調査する。さらに硝子体内投与薬物によって生じる網膜障害、脈絡膜障害の治療ターゲットを絞り込む。その結果を用いて、抑制実験を行う。ターゲット分子により薬物送達方法は異なるが、siRNA、L-NAMEなどの薬剤、抗体などを用いる予定である。最初はin vitroの系を用いて、次にin vivoの実験系へ進む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記実験に用いる薬物関連、実験器具、実験動物に150万円、成果発表の学会参加費に国内10万円、国外60万円、発表論文英文校正代に20万円を要する。
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Research Products
(14 results)