2011 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉移行制御による水疱性角膜症に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
23791998
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
奥村 直毅 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (10581499)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 角膜内皮 / 上皮間葉移行 |
Research Abstract |
角膜内皮障害は角膜の混濁を生じ重症の視力障害の原因となるが、現在唯一の治療法は角膜移植のみである。本研究においては、角膜内皮細胞の上皮間葉移行(Epithelial-Mesenchymal Transition; EMT)を低分子薬剤により抑制することにより、角膜内皮障害時の機能喪失を遮断する方法を樹立することを目的とする。角膜内皮機能喪失へのEMTの寄与を解明するために、培養角膜内皮細胞に対してTGFβによりEMTを誘導し、in vitroにおけるEMT関連分子の発現解析を行った。EMT誘導によりフィブロネクチンなどのECM産生が上昇することを確認した。また、EMT誘導時の角膜内皮の分子レベルの評価系を確立した。また、角膜内皮の細胞間接着関連分子であるZO-1、およびポンプ機能関連分子であるNa+K+ATPaseによる免疫染色およびウエスタンブロッティング法を行い、EMTによる角膜内皮機能喪失を確認にした。 さらに、角膜内皮のEMT動物モデルの作成を行うために、ウサギに対してステンレスチップによる経角膜冷凍凝固を行った。また、我々が研究を行なっている角膜内皮再生医療において、生体外で培養した角膜内皮細胞を前房内投与にて移植した際に、EMTが誘導されることを確認した。このような生体内でのEMTは選択的Rhoキナーゼ阻害剤により抑制できることを見出した。このことは、角膜内皮再生医療の臨床応用化について不可欠な技術であり角膜内皮のEMT制御による治療法開発という研究課題に即した重要な研究実績と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々が研究を行なっている角膜内皮再生医療において、生体外で培養した角膜内皮細胞を前房内投与にて移植した際に、EMTが誘導されることを確認した。動物モデルにおけるEMT制御は平成24年度の課題であり、前倒しで実施できた。また、生体内でのEMT制御は角膜内皮再生医療の臨床応用化について不可欠な重要な研究実績である。
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Strategy for Future Research Activity |
EMT抑制を行う候補薬剤の絞り込みおよび角膜内皮のEMT制御の動物モデルによる検討について、特に角膜内皮再生医療への応用という視点からも推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に確立した培養角膜内皮細胞によるin vitroにおけるEMT評価系を用いて薬剤によるEMT抑制効果を評価する。また、生体内での効果についてもウサギモデルを用いて有用性の確認を行う。
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Research Products
(5 results)