2012 Fiscal Year Annual Research Report
眼位異常のスクリーニングのための質問票の開発と有効性の検証
Project/Area Number |
23792001
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
後関 利明 北里大学, 医学部, 助教 (30458799)
|
Keywords | 斜視 / 眼位異常 / 質問票 / アンケート |
Research Abstract |
眼精疲労や身体的な疲労の原因となりうる眼位(眼の位置)異常の精査を目的に、眼科受診が必要な人を特定するための質問票を開発することが本研究の目的である。 本研究の最終年度における今年度は、病院の定期健康診断において同意を得られた一般成人672名を対象に、初年度に開発した主観的指標・客観的指標で構成した24問の自記式質問票を用い、眼位異常に対する回答を得た。また回答者には視能訓練士による眼位検査と立体視検査も行った。 検査対象者は男性254名、女性418名の計672名で年齢42.8±12.8歳であった。眼位検査の結果、平均斜視角5m:8.5±6.2Δ、1/3m:3.6±4.0Δとなった。その内、質問票及び眼位検査の結果から、データ解析の対象者は最終的に616名とした。616名中、正眼位及び斜位は合計489名、軽度間欠性斜視は118名、斜視及び間欠性斜視(中等度以上:斜視≧斜位)は合計9名であった。自記式質問票の回答から斜視及び間欠性斜視(中等度以上:斜視≧斜位)の症例を抽出することのできる質問項目は、重回帰分析ステップワイズ法を用いると、23項目中8項目が採用された。また、分布の違いも考慮した上で、さらにロジステッィク解析により9項目のROC曲線のAUC(曲線下面積)を求めたところ、0.96の高値を示した(p<0.05)。このことにより、開発された自記式質問票の質問項目の内9項目は、斜視及び間欠性斜視(中等度以上:斜視≧斜位)の症例に特異であると予測することができる。 今後の研究では、軽度の間欠性斜視の症例を抽出することのできる質問項目を特定する予定である。また、眼科領域の健康診断における今回の調査結果は、過去に例を見ない規模のデータ数である。そのため、本データは今後の研究においても十分な基礎データとなると予測され、重要な調査となったといえる。
|