2011 Fiscal Year Research-status Report
角膜移植後における内皮細胞死とミトコンドリアの動態
Project/Area Number |
23792005
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
舟木 俊成 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80384121)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 角膜内皮細胞 / 細胞死 / ミトコンドリア / シクロスポリン / 角膜移植術 / 膜電位 |
Research Abstract |
角膜内皮細胞(CE)は加齢とともに減少するが、それは生体内でほとんど増殖しないためである。角膜移植術では移植片のCEはより一層減少するが、その減少に大きく影響を与えているのは、手術時における外科的侵襲である。そのため手術時におけるCEの保護は移植片の生着に重要と考えられる。血管から栄養をうけないCEはミトコンドリアを多数保有している。ミトコンドリアは高い代謝性を維持することに寄与しており、またミトコンドリアの機能低下は細胞死と密接な関係があると報告されている。シクロスポリンA(CsA)は従来の免疫抑制作用だけでなくPermeability transition poreを阻害することにより、ミトコンドリアの膜電位を安定化させ細胞死を抑制していると報告されている。研究目的はCsAの投与により細胞死を抑制できるかどうかヒト培養角膜内皮細胞(HCEC)およびマウス角膜を用い検討した。方法はHCECを用いて細胞死誘導物質であるH2O2を各濃度で刺激し、1時間後に細胞死マーカーであるCaspase-3/7で染色を行い、陽性率をカウントした。H2O2とCsAの共刺激でCaspase-3/7およびミトコンドリア膜電位のマーカーで染色を行い、免疫染色及び蛍光吸光度を測定した。またマウスの角膜を用い、同様の条件で染色を行い共焦点顕微鏡で観察した。結果:1.HCECではH2O2により量的依存で細胞死を確認できた。2.100nMのCsA存在下でのH2O2の刺激では細胞死の抑制を認めた。3.同様にミトコンドリアの膜電位の低下の抑制も認めた。マウスの角膜移植片の結果はCsA存在下でのH2O2刺激で培養細胞同様に膜電位低下の抑制を認めた。結論:CsAは外科的侵襲によるCEのミトコンドリア膜電位の低下を抑制し、細胞死を抑制することを示唆した。今後角膜移植時におけるCEの保護に期待できる薬剤と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外注で注文したスペキュラマイクロスコープ(トーメー社)の開発に時間を要し、当初予定した実験計画(マウス角膜移植の内皮細胞密度の変化)を行えなくなった。そのためin vitroの実験を中心に行った。その結果提出した実験計画の進行がやや遅れている結果となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に計画していたin vivoの実験を行う。CsA存在下でのマウス角膜移植で、内皮細胞密度減少が抑制できるかどうか検討する。またin vitroの効果についてもミトコンドリア選択的阻害薬(スタウロスポリン)とCsA存在下での効果の検討することで、データの信頼性を高くする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費はおおむねマウス購入にあてる。
|
Research Products
(1 results)