2013 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障に対する新しい免疫学的・遺伝子学的診断、治療、経過観察法の開発
Project/Area Number |
23792008
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
丸山 勝彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (60385002)
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Keywords | 液性因子 / サイトカイン / ケモカイン / 増殖因子 / MCP-1 / 線維柱帯切除術 / 後嚢下白内障 / 緑内障 |
Research Abstract |
手術既往のない原発開放隅角緑内障症例を対象として、初回手術として行った線維柱帯切除術時に前房水を採取してサイトカイン、ケモカイン、増殖因子(以下、総称して液性因子とする)の濃度を網羅的に解析し、術前術後の臨床因子との相関を検討した。なお、手術時に緑内障以外の眼疾患がある症例は対象から除外した。 症例数は27例32眼、対象の年齢は53.1±7.1歳、等価球面度数は-7.26±3.40ジオプター、術前眼圧は16.1±2.9mmHg、術前のハンフリー自動視野計中心30-2プログラムによるmean deviation(MD)は-16.75±6.20dBであった。前房水の解析はCytometric Bead Array Flex kitを用い、IL-6、IL-8、VEGF、MIG、IP-10、MCP-1をはじめとする35種の液性因子の濃度を網羅的に測定した。術前の臨床因子(年齢、等価球面度数、眼圧、MD)ならびに術後の臨床因子(術後6か月目の眼圧、5mmHg以下の低眼圧の有無、WHO分類に基づいて細隙灯顕微鏡で判定した後嚢下白内障の程度)と各液性因子の濃度との関係をSpearmanの相関係数で検討した。 その結果、術前の臨床因子と各液性因子の濃度との相関はなかった。術後6か月目の眼圧は8.0±3.3mmHgで、低眼圧を16眼に認め、後嚢下白内障は16眼で確認された。術後6か月目の眼圧、ならびに低眼圧と各液性因子との間に相関はなかったが、後嚢下白内障の程度と各液性因子の検討では、MCP-1との間に有意な相関を認めた(r=0.44、p=0.01)。 以上のことから、線維柱帯切除術後の後嚢下白内障の発生には術前の前房水中MCP-1が関与する可能性があることが示唆された。
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