2012 Fiscal Year Annual Research Report
角膜におけるIL-6トランスシグナリングの役割と病態との関連について
Project/Area Number |
23792010
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
崎元 暢 日本大学, 医学部, 助教 (20465272)
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Keywords | 角膜 / IL-6R / トランスシグナリング / 上皮実質相互作用 |
Research Abstract |
炎症性サイトカインであるIL-6は、細胞から放出された可溶性(soluble) IL-6R(sIL-6R)とIL-6+sIL-6R複合体を形成し、IL-6の共役レセプターであるgp130を介してシグナル伝達する、IL-6トランスシグナリングという独特のシグナル伝達機構を有している。当該年度研究では、マウスアルカリ外傷角膜に対して抗IL-6R抗体を点眼し、摘出した角膜実質中の遺伝子発現をPCRアレイ法を用いて網羅的に検討した。 その結果、抗IL-6R抗体点眼によってMMP-13や共にマクロファージ遊走に関わるケモカインであるMCP-1とCCL22、さらに自然免疫・真菌感染防御に関わるclec7a(dectin-1)の発現が著明に抑制された。逆に、IL-17の受容体であるIL-17REや好中球遊走に関わるケモカインであるCXCL-5の発現が増強していた。これらのことは、IL-6R抗体点眼はマクロファージ遊走に関わるケモカインやMMPなどの遺伝子発現を抑制することで抗炎症効果を生じる可能性が考えられた。さらに、IL-6シグナルはIL-17産生細胞を誘導するため、IL-6R抗体によるIL-17受容体の発現の上昇結果はIL-6Rによるサイトカインシグナル伝達と関連がある可能性が示唆された。 また、角膜細胞におけるIL-6/sIL-6R複合体の阻害因子である可溶性gp130(sgp130)の産生能を培養角膜上皮細胞、培養角膜実質細胞を用いて検討したところ、細胞外ドメインシェディングを促進させることで角膜実質細胞からsgp130が産生され、角膜上皮細胞からは産生されないことが分かった。このことは、角膜上皮-実質相互作用を介してIL-6シグナルを遮断する機構として矛盾のないものと考えられた。
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Research Products
(8 results)