2012 Fiscal Year Research-status Report
Th17細胞系蛋白が前眼部慢性炎症・感染において果たす役割の解明
Project/Area Number |
23792011
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 愛 日本大学, 医学部, 助教 (30535191)
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Keywords | IL-17 / IL-17R / マウスアルカリ角膜外傷モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、前眼部の感染防御と炎症におけるインターロイキン(IL)-17産生T(Th17)細胞系蛋白の役割について解明することである。前眼部の炎症性疾患、感染性疾患についてIL-17に着目し、網羅的に検討された研究報告は未だ少ない。 今年度は、前眼部炎症でのTh17細胞系蛋白の役割を解明するため、アルカリ角膜外傷モデルでのTh17細胞系蛋白の発現を検討した。C57BL/6マウスの片眼にアルカリ外傷を作製し、1、2、5、7、28日目に眼球を摘出し、未固定で凍結後、7μm厚に薄切し、角膜上皮・実質を含んだサンプルをレーザーマイクロダイセクション法で作製し、IL-17A, !L-17F, IL-17RAのmRNA発現についてreal time RT-PCRで測定した。無処置マウスをコントロール群とし、Mann-Whitney U検定で統計を行った。角膜サンプルにおいて、コントロール群、アルカリ外傷群ともにIL-17A, !L-17Fの発現は認められなかった。一方、マウスアルカリ外傷モデルの角膜でIL-17R発現が外傷後1、2、7日目に上昇していた。 さらに、ヒト培養角膜上皮および実質細胞を用いIL-17A 100ng/ml およびTNF-α 50ng/ml で 2時間刺激後のIL-17R、ケモカイン(IL-8、CCL20)の発現をreal time RT-PCRで測定した。IL-17Rは、 TNF-α刺激により培養角膜上皮・実質細胞での発現が上昇した。CCL20は、IL-17、TNF-α刺激により培養角膜上皮・実質細胞での発現が上昇した。IL-8は、IL-17、TNF-αにより培養角膜上皮・実質細胞での発現が上昇し、 IL-17とTNF-α両者の刺激により更に発現が上昇した。 これらの結果から、Th17細胞系蛋白は眼表面炎症に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前眼部炎症に関する培養角膜上皮・実質細胞、マウスモデルを使用しての実験は、概ね順調である。臨床検体の結果は現在集積されているところであり、平成25年度以降も計測予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
抗マウスIL-17抗体を用いたアルカリ角膜外傷における抑制実験は、現在進行中である。さらに、細菌細胞外毒素による培養角膜細胞の刺激実験を施行する予定である。前眼部感染・炎症症例(感染性角膜潰瘍、非感染性角膜潰瘍、アレルギー性角結膜疾患、Stevens-Johnson症候群、シェーグレン症候群)の臨床涙液検体についても症例数が蓄積してきており、網羅的に解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスの購入費用、real-time RT-PCR 、ELISA、免疫組織化学的検討を行う際の試薬購入費用にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)