2013 Fiscal Year Annual Research Report
Th17細胞系蛋白が前眼部慢性炎症・感染において果たす役割の解明
Project/Area Number |
23792011
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 愛 日本大学, 医学部, 助教 (30535191)
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Keywords | IL-17 / IL-17R / 角膜上皮細胞 / 角膜実質細胞 / Exotoxin A |
Research Abstract |
本研究の目的は、前眼部の感染防御と炎症におけるインターロイキン(IL)-17産生T細胞系蛋白の役割を解明することである。前眼部の炎症性疾患、感染性疾患についてIL-17に着目し、網羅的に検討された研究報告は未だ少ない。 今年度は、前眼部の感染性疾患とIL-17関連タンパクについて培養角膜上皮および実質細胞を用いて検討した。方法は、緑膿菌から分泌されるポリペプチドであるExotoxin A(ExA)で培養角膜上皮、実質細胞を24時間刺激し、Th17細胞系蛋白のmRNA発現をreal time RT-PCRで測定した。無刺激の細胞をコントロールとし、t検定で統計を行った。細胞生存率はいずれの刺激でも90%以上を維持できた。前年度のマウスアルカリ外傷モデルと同様、角膜上皮、実質細胞でExA刺激によるIL-17A発現の上昇はみられず、一方IL-17RAの発現は角膜上皮、実質細胞でそれぞれ1.65±0.1(平均値±標準偏差)、1.91±0.26倍に有意に増加した。他に、ExA 刺激によるIL-17RB、IL17-RE、IL-23A、IL-23R、CCL20の有意な発現上昇が角膜上皮、実質細胞で認められた。 さらにIL-17RAのmRNA発現について緑膿菌の細胞壁成分であるlipopolysaccharideで角膜上皮、実質細胞の24時間刺激を行った。上皮細胞では有意に増加したが、実質細胞では変化がなかった。また、IL-17RAの感染早期の変化を検討するためExA刺激後6時間を比較し、実質細胞のみで有意なmRNA発現上昇がみられた。 以上の結果から、角膜でIL-17 RAの発現が緑膿菌毒素、細胞壁成分の刺激により上昇し、上皮と実質で刺激の種類・時間により異なった反応を示すことが明らかとなった。 今後の研究の展開は、角膜でのIL-17RA発現上昇の機序につき検討を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)