2012 Fiscal Year Annual Research Report
角膜輪部における角膜幹細胞と角膜神経の関与 ーニューロトロフィンに着目してー
Project/Area Number |
23792015
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
上野 宏樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (30529897)
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Keywords | 角膜三叉神経 / 角膜stem/progenitor細胞 |
Research Abstract |
神経麻痺性角膜症は角膜の知覚低下および遷延性角膜上皮欠損を認める難治性疾患である。しかしながら、病態学的に現在においても詳細には解明されておらず、角膜幹細胞と角膜三叉神経との相互関与の有無については報告が少ない。我々はまず神経麻痺性角膜症のモデルマウスを作製し、モデルを用いて感覚神経である角膜三叉神経と角膜幹細胞との関連性を調査した。方法として電気凝固を利用し三叉神経の分枝である眼神経を障害したところ、瞬目反射が欠如し神経麻痺性角膜症様の所見を呈したマウスを作ることに成功した。障害7日後、障害側のみ神経マーカーであるbeta-III tubulinの完全な欠如を確認し、現段階で角膜stem/progenitor細胞のマーカーとして考えられているABCG2, p63, hairy enhancer of split 1 (Hes1) 蛋白を免疫染色にて評価したところ発現が低下していた。またreal-time PCR法において、いずれのmRNA量も低下を示した。幹細胞の低下を具体的に定量するために、幹細胞の代替として用いられるside populationを用いてフローサイトメトリーで検出したところ、正常マウス角膜と比べて神経麻痺性角膜症のモデルマウスのside populationは約75%の低下を示した。以上より角膜神経障害後、角膜stem/progenitor細胞は著しく減少していることから、角膜幹細胞をとりまく環境を維持するために角膜三叉神経は重要な役割を担っていると示唆された。また神経障害の代表である糖尿病モデルマウスにおいてもやはり角膜stem/progenitor細胞は減少を示した。これらの結論を踏まえ、糖尿病性角膜症やヘルペス性角膜炎などの重症例に対する治療のアプローチを考える上で、角膜幹細胞をとりまく環境の整備が重要であると考察した。
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Research Products
(4 results)