2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792024
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Research Institution | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
木村 敦子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (60569143)
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Keywords | 神経変性 / Dock3 / 神経細胞死 / 緑内障 |
Research Abstract |
本年度もDock3による神経保護作用の検討を行った。Dock3を神経細胞に過剰発現させた場合には、細胞膜上のグルタミン酸受容体の発現量が減少し、グルタミン酸刺激による細胞内へのカルシウム流入が抑制されることを見出した。実際にDock3過剰発現マウス由来の網膜神経節細胞は、野生型マウス由来の網膜神経節細胞よりも、グルタミン酸毒性に対する耐性が増していた。さらにDock3過剰発現細胞では酸化ストレス耐性も亢進することがわかった。 我々は以前からグルタミン酸受容体の1つであるGLASTの欠損マウスが正常眼圧緑内障の疾患モデル動物として活用できることを報告している(Journal of Clinical Investigation, 117, 1763-1770, 2007)。本モデルでは慢性的なグルタミン酸毒性と抗酸化物質の産生低下(酸化ストレスの亢進)がその原因であることが報告されている(Cell Death and Differentiation 17, 1751-1759, 2010)。そこでDock3過剰発現マウスとGLAST欠損マウスを交配したところ、GLAST欠損マウスと比較して、より多くの網膜神経節細胞が生存し、網膜内層の形態も保たれるなど、緑内障の進行が抑制されることがわかった。したがって今後はDock3の遺伝子治療により緑内障の予防が可能か、さらに検討を進める予定である。
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