2012 Fiscal Year Research-status Report
自家間葉系幹細胞を用いた先天性横隔膜ヘルニアの低形成肺に対する再生医療
Project/Area Number |
23792031
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 公二 九州大学, 大学病院, 助教 (20419568)
|
Keywords | 肺発達 / 先天性横隔膜ヘルニア / 骨髄幹細胞移植 / 再生医療 |
Research Abstract |
1)間葉系幹細胞の採取・精製・培養について; 1.肺を摘出された胎仔ラットの、脛骨と大腿骨から骨髄採取を試みたが、検体が小さく脆弱であり、骨髄からの採取は困難であった。2.胎盤からの間葉系幹細胞の採取を試みるも精製・分離・抽出作業が困難であり、断念した。3.自家骨髄間葉系幹細胞の採取には手技的・時間的な労力がかかるために、コマーシャルベースのヒト胎盤由来の間葉系幹細胞の投与は費用がかさむために断念した。4.eGFPラットを購入し、同ラット肺から肺組織内間葉系幹細胞を分離抽出することができたため、これを培養し、妊娠12日目のCDHモデルラットの子宮静脈内に投与し、その後に出生する上記3群の胎仔肺の成長発達に関しての形態学的群間格差を検証した。 2)胎仔肺への間葉系幹細胞の投与効果; 1.ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、上記3群間における形態学的評価を行った。2.肺胞上皮細胞のマーカーであるTTF-1,Sp-Cについて免疫染色を行い、3群間における発現についての形態学的評価を行った。3.肺血管平滑筋のマーカーであるα-SMAについて免疫染色を行い、3群間における発現についての形態学的評価を行った。 3)結果; eGFP ratの胎児肺への移行を確認するために、各群から得られた肺を抗eGFP抗体で染色し、eGFPがLMSC群のみに発現していることを確認した。H.E.染色では、CDH群と比較して、CDH+LMSC投与群では肺胞の拡張を認め、投与効果を認めた。また、CDH+LMSC投与群は、CDH群と比較してTTF-1,Sp-C陽性細胞数が増加し、a-SMAでは肺血管の狭小化が改善している所見を認めた。 4)意義および重要性; 今回の実験結果から、LMSC投与群では、CDHにおける肺成熟を成熟させ、肺血管の狭小化を改善する可能性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたラット胎仔の大腿骨、骨髄からの自家骨髄間葉系幹細胞の精製・分離・抽出作業は検体が小さく手技的に困難であり、断念した。また、次に胎盤からの間葉系幹細胞の採取を試みるも精製・分離・抽出作業が困難であり、断念した。コマーシャルベースのヒト胎盤由来の間葉系幹細胞はコストがかかるために断念した。 最終的には、eGFPラット肺からの間葉系幹細胞の抽出が可能となり、実験系統がようやく確立した。 すなわち、eGFPラット肺から抽出した肺組織内MSCを胎仔期の子宮静脈内に投与することで胎仔肺の成長を促進することができるという仮説を検証することとして、実験系統が確立した。 胎盤内へのMSCの投与効果を確認するために、eGFPラットを用いることとしたが、eGFPラットを用いた実験には、遺伝子組み換え操作が伴うために倫理審査が必要であり、動物実験計画を再度作成し、倫理委員会による審査を経て承認された。 免疫染色に関しては、抗体を再購入したが、最終的には手技的にも安定し、検体数を増やすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、コントロール群、CDH群、CDH +LMSC群の3群の肺検体から分離・抽出したmRNAや蛋白を用いてreal-time PCRやIn situ hybridization、Western-blotを行うことで分子生物学的検討を行いたいと考えている。 再現性が得られることを証明するために検体数を増やして、繰り返し研究を行う必要性がある。 また、得られた研究結果に関しては、適宜学会発表を行うとともに論文作成の準備をすすめる。 所属部署には実験補助員や大学院生などの実験補佐が可能な人材があり、これを教育、指導することで研究を推進できる可能性がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究計画としては、検体数を増やしていくことと分子生物学的評価を行うことがあげられる。研究費の使用計画としては、 1)母獣ラット購入。2)eGFPラットの購入。3)PCR使用薬剤、primer購入。4)In situ hybridizationなどの分子生物学的実験に関する諸費用があげられる。 これは従来計上していた研究計画と変更なく遂行可能である。 培養培養液に関しては、実験計画の変更に伴い購入する必要はなくなったが、eGFPラット肺から肺組織MSC細胞を分離培養するため、これらにかかる費用が出現することとなった。
|