2011 Fiscal Year Research-status Report
移植脂肪細胞の生着向上におけるアクアポリン機能の同定と修飾法の探索
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23792036
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
窪田 吉孝 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10375735)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脂肪移植 / アクアポリン |
Research Abstract |
脂肪細胞移植法は形成外科領域において組織増量による形態改善を目的として行われる有用な方法である脂肪移植はドナーの豊富さ・安全性・移植後形態の自然さから、今後ますます応用領域が広がることが確実である。しかし、移植の問題点として、生着率が20-40%程度と低く、成績が不安定な点があり、それは、移植脂肪生着のメカニズムが不明であることに起因している。われわれは、虚血網膜内皮細胞においてアクアポリン-1が高発現し、血管新生を誘導することを過去に明らかにした。移植脂肪細胞が初期において避けられない低酸素環境下においてアクアポリンが重要な役割を果たし、そのメカニズムと機能修飾法を明らかにすることが脂肪移植の生着率向上に寄与すると考えた。この仮説を検証するため、ヒト天井培養由来増殖性脂肪細胞ccdPAにおいて、低酸素培養をおこなったところアクアポリン-1の発現が上昇することが明らかになった。一方、アクアポリン-7は低酸素環境下においても発現変動はなく、これはアクアポリン-7はグリセロールチャンネルであることから、移植初期の環境を再現した低酸素環境下では発現せず、移植後期の脂肪適蓄積の段階で発現するものと考えられた。また、同時に未分化血管細胞群と考えられるSVFを低酸素培養したところVEGF,MMP-3の発現がみられ、低酸素環境下における細胞外環境改善に寄与しているものと考えられた。VEGF, MMPの発現上昇はSVFに劣るがccdPAにもみられ、脂肪細胞も周囲環境改変に積極的に関与しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水チャネルであるアクアポリン-1が発現上昇が低酸素で引き起こされるメカニズムとその意義、他の細胞外環境改善因子であるVEGF,MMPsとの因果関係がいまだ明らかでないため。
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Strategy for Future Research Activity |
低酸素におけるMMPs発現上昇とアクアポリン発現上昇はおそらく協同して細胞外環境を改善し、移植生着向上に寄与していると推定される。我々はこれまでに、塩基性線維芽細胞増殖因子が脂肪移植においてMMP発現上昇を介して血管新生と細胞外環境改変に寄与していることを明らかにしたが、bFGFのアクアポリン調節作用は不明であるため、これを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
低酸素に対する脂肪細胞と血管内皮細胞との反応の差を網羅的遺伝子解析により明らかにし、変動遺伝子のRNAiによりアクアポリン発現誘導との関連をより解析する。また、マウス脂肪細胞移植モデルにおけるアクアポリン機能解析を、低酸素前処置脂肪細胞群と通常条件培養脂肪細胞群との比較で検討する。
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Research Products
(1 results)