2012 Fiscal Year Annual Research Report
再建外科における超微細血管吻合技術を用いた新しい小臓器・複合組織移植モデルの開発
Project/Area Number |
23792039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 拓也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00398603)
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Keywords | 同種移植 |
Research Abstract |
眼球などの中枢神経を含む小臓器移植を実現させるためには、①臓器血流の確保、②免疫抑制、③神経の再生、が必要不可欠である。過去の検討により、①は超微小血管吻合技術により可能であった。また②は一般的な臓器移植と同様に可能と考えられるため、最大の障壁は③と考え、これを中心に研究を行った。 視神経は中枢神経であり、末梢神経とは異なる特性を持つ。軸索周囲はシュワン細胞ではなく稀突起膠細胞よりミエリン化されているため、哺乳類においてはほとんど再生が見られない。しかし中枢神経細胞そのものには再生能力があることは知られており、成長に適した環境を移植することで再生は可能であると推測されている。動物実験モデルにおいて、末梢神経を視神経切断部に移植することで視神経の軸索再生が得られたとする報告がなされて以来、視神経や脊髄など中枢神経への末梢神経移植の研究が多く報告されている。しかし軸索形成率は低く、これは神経組織の酸素要求性が高いために血流を有しない遊離神経移植では、生着する細胞数が多くないことが一因と考えられる。 我々は血管柄付き神経移植により軸索形成率の向上が期待できると考え、ウサギを用いて血管柄付顔面神経、眼窩上神経移植を行い、実験モデルを作成した。全身麻酔下にウサギ顔面神経を露出し、血管柄付神経として眼窩に移行した後、経結膜的に強膜にアプローチし小切開から血管柄付顔面神経を強膜下の網膜直下に通して、11-0ナイロンにて固定した。3カ月後に組織を固定し、神経の伸長や瘢痕化をHE染色、Neurofilament染色、Rhodopsin染色 等により検討した。その結果、視細胞を取り囲むように移植した末梢神経が網膜内への伸長を確認した。今後は、さらに詳細な免疫組織化学染色として、シナプス形成の有無を順行性染色 や逆行性染色による評価や飼育期間の延長などを用いてより進んだ評価を行いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)