2012 Fiscal Year Research-status Report
長幹骨の内軟骨性骨化におけるレチノイン酸の機能解明
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23792042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
峯岸 芳樹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10467566)
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Keywords | レチノイン酸 / 内軟骨性骨化 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実績に基づき、ひきつづきレチノイン酸が内軟骨性骨化に及ぼす影響の解析をおこなった。レチノイン酸分解酵素であるCyp26b1が増殖軟骨細胞特異的に欠損したCyp26b1 conditional knock outマウス(cKOマウス)は生後2から3週齢にかけて長管骨成長板が限局的に早期閉鎖をおこすことが昨年度の研究で判明している。 レチノイン酸はその濃度勾配によって精密に体軸形成などを調整することが知られており、このCyp26b1 cKOマウスの表現系が前述のような表現系を発現する要因として成長板内にもレチノイン酸の濃度勾配が存在するという仮説をたてた。解析方法としてレチノイン酸のレポーターマウスであるRARE-LacZマウスを用いて長管骨成長板内のレチノイン酸の分布を解析した。その結果、成長板内で増殖軟骨細胞から肥大軟骨細胞へと分化していく過程にレチノイン酸の濃度勾配が存在することをつきとめた。 また成熟マウスではパラフィン包埋での標本作製には脱灰作業が不可欠であり、その操作により標本の抗原性が著しく失われるため、凍結非脱灰標本の作製方法である川本法を習得し、成長板内の上層、中層、下層よりmRNAを採取した。そのサンプルよりCol2・sox9・Ihh・Col10・MMP13などの軟骨マーカーの発現を解析した。その中からレチノイン酸に発現調整をうけている因子を探求する実験をおこなった。さらにレチノイン酸の濃度勾配んに反応して軟骨肥大化への分化を調整する新規遺伝子の探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に明らかにしたCyp26b1の増殖軟骨細胞特異的cKOマウスが生後3週齢程度で成長板の限局性早期閉鎖を起こす表現系について、引き続き形態学的解析を行うとともに、そのメカニズムに関しての検討を開始した。 野生型マウスとCyp26b1 cKOマウスの成長板を形態学的に比較検討した。レチノイン酸のレポーターマウスであるRARE-LacZマウスを用いてガラクトシダーゼ染色をおこなった。また長管骨成長板よりmRNAを採取してリアルタイムPCRを行うことで、レチノイン酸が軟骨組織で高濃度になった際に生じる増殖・分化制御のメカニズム解明に焦点を当てた。 現状としての実験達成度は上記のごとくであり、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウスとCyp26b1 cKOマウスの比較検討により形態学的検討はほとんど終えた。 今後の研究方針としては成長板軟骨細胞から抽出したmRNAよりマイクロアレイ解析をおこなうことで新規の軟骨肥大化因子の探索をおこなう。 また生体内でのレチノイン酸パスウェイを再現するようなin Vitroの系を確立し、上記因子の強制発現モデル、ノックダウンモデルを作成し、そのメカニズムを解明する。 平成25年度のうちに英文論文として研究内容をまとめ、その追加実験を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織特異的高レチノイン酸マウスを作製するために必要であるマウスの系統(増殖軟骨特異的にCreリコンビナーゼを発現するCol11a2-Creマウス、レチノイン酸分解酵素Cyp26b1欠損マウスおよびCyp26b1 floxマウス)やレチノイン酸プロモーターにLacZ サイトを付与したRARE-LacZマウスの維持を行う。また実験に必要となるピペット、チップや細胞培養ディッシュなどの消耗品や免疫染色に必要な各種抗体、RNA抽出を行うキット類などを購入する。 また研究成果を管理するために必要なファイル、のりなどの文房具類や記憶媒体としてメモリーフラッシュ、ハードディスクドライブなどのパソコン関連機器を購入する。 これまでに研究から得られた知見をまとめ、学会発表・英文雑誌に投稿を行う。それに伴い論文の英文公正を依頼する予定である。
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Research Products
(5 results)